歩いて5分のスーパーに毎日クルマで買い物に行く私を知っている人が聞いたら驚くかもしれないが、高校時代、野球部で全力疾走をしていた。しんどいから嫌だったが、野球部の寮に全力疾走を称賛する手紙が寄せられたりして、やめるにやめられなかった。全国の名将たちに尊敬された恩師は、人が思う以上に厳しく私たちを指導してくれた。ハラスメントを論じる時代ではなかったが、理不尽さは十分感じていた。おかげで今があるのは間違いないので、感謝こそすれ、恨む心は全くない。そんな私も指導者となって同じような手法で指導をすることになる。「厳しい練習は教育の一環」「負けない心を育む」「野球選手である前に一人の高校生であれ」と色々きれいごとを言ってきたが、心の中は「勝ちたい」気持ちの方が強かった。だから生徒に無理を強いたことが何度もある。にもかかわらず、生徒たちはこんな私についてきてくれた。今はただ感謝と陳謝しかない。
私はパワハラなどの報道を見ると、つい被害者目線で批判してしまう。どうしても加害者になりたくない自分がいるのだ。
鍛えてきたはずの心は、まだ弱いままのようだ。
四万十市人権教育・啓発講師 光内真也
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