農畜林振興課
営農指導員 千頭健司
◆春に向けた畑の準備について
野菜作りはまず土づくりからといわれるように、おいしい野菜をつくるには土づくりが一番重要です。
野菜にとって生育しやすい畑とは?
○野菜は地中に根を伸ばし、自分の体を支え、養分や水、酸素を吸収して生育します。
そのため、畑には堆肥の施用、pH改善、排水改良等に以下の条件が整うことが大切です。
(1)根が抵抗なく伸びる土のかたさであること。
(2)石ころやれきが少なく、50cmほどほっても水がわいてないこと
(3)土の中に多くの空気と水が含まれていること。
(4)野菜を侵す病原菌やセンチュウ、害虫が少ないこと。
●堆肥とは?「土をつくるため」
堆肥とは微生物によって落ち葉や家畜の糞などの有機物が分解されて発酵したもので、土の中の環境を良くする土壌改良剤としての役割を持ちます。
堆肥は土壌の物理性を改善する効果があり、土の通気性、保水性の整ったフカフカな土にしてくれます。
●牛糞堆肥など(動物性堆肥)
牛糞にワラやおがくず、もみ殻などの植物性副資材を混ぜて発酵させた有機肥料です。
主に土壌改良の目的で利用されますが、肥料成分が含まれているため、肥料としても効果を発揮してくれます。
牛糞堆肥を土に混ぜ込むと微生物が元気になります。
微生物は牛糞を分解すると同時にガチガチだった土をフカフカの状態に変える働きがあります。このフカフカの土を団粒構造の土といい、植物を元気に育てるには欠かせない存在です。
牛糞堆肥は肥料効果が長く続くため、生育期間が長い作物の元肥として適しています。
例えばナスやトマト、ピーマンなどのナス科の野菜です。
●バーク堆肥、もみ殻堆肥など(植物性堆肥)
樹皮の皮(バーク)を発酵させ、堆肥にしたものが、「バーク堆肥」です。腐葉土や家畜糞など他の堆肥と比べて繊維質がとても多いのが特徴で、家庭菜園では、主に土をフカフカにしたり連作障害を防いだりする土壌改良剤として用いられます。
また、雑草対策に使うマルチング材としても利用されます。
土全体の通気性や保水性がよくなることで、柔らかく植物が育ちやすい土壌が出来上がります。
●鶏糞(鶏ふん)
元肥として利用する場合、施肥のタイミングは、播種や定植の1週間前です。
鶏糞堆肥の施用後に窒素の取り組みが起こり、土壌の窒素状態が安定するまで1週間程度かかります。
※注意事項
鶏糞は、アルカリ性が強いため、土壌のpHを変化させる可能性があります。石灰の散布量を減らす対策が必要になります。
鶏糞に一番多く含まれる栄養素はリン酸です。リン酸は、実をつける野菜に効果がある成分があるため、ナスやピーマン、トマトなどの実がつく野菜の肥料に適しています。
●畑のpHを確認しましょう。(土壌分析)
土壌の状態を調べることで、作物の生育に適した土壌環境や施肥量を判断するための分析です。
▽土を取る方法
・中央と対角線に5カ所表土を1~2cm位程度除き、作土を同じ深さで取ります。
・土を乾燥させて、ふるいにかけ石などを取り除きます(乾燥土最低100g以上)。
・普及センター等で分析してくれます。
●計画的な輪作で連作障害を回避しましょう。
トマトやナス、キュウリ、スイカ、エンドウなどを連続して同じ畑で作ると、生育が極端に悪くなったり、枯れてしまったりします。このような現象を「連作障害」と呼びます。この障害を起こす原因は、前作の野菜に寄生していた病害虫が土の中に残り、それが次に植えた同じ種類の野菜に被害を加えるからです。
・畑をブロックに分けて、同じ科の野菜を同じ区画内で連続して栽培しないようにする。
・野菜によって輪作年限が異なるため、計画的に栽培する。
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