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教育委員会文化財係 第36回 日高村 気になるデザイン散歩

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高知県日高村

このコーナーでは、何気ない日常で見つけた素敵なデザインを楽しみます。

▼地質と風景(2)
今回も、普段何気なく見ている日高村の風景を地質という切り口で紹介していきたいと思います。

▽地名
地名に「石」や「岩」が含まれている場合、実際にその地名の由来となっている「石」や「岩」を現場で見ることができる場合があります。

『岩目地』(岩種:チャート)
日高村文化財誌では小石交じりの田んぼが実際にあることから(1)イワ(小石交じり)(2)メ(狭い所)(3)チ(土地)が由来ではないかと記載しています。また他の説では巨石が多いことで知られる大滝山(※1)の巨岩が見える場所(イワガミエルチ)であるからとか、小石が交じった岩(礫岩)がある場所(イワマジリ)だからといったさまざまな由来が伝わっています。
※1 地名の由来となっている大きな崖(土佐では崖を滝という)がある山。

『光岩』(岩種:チャート)
下分の日高村といの町の境、山に上がっていく道路沿いに不動明王をまつった大岩があり、地元の人の話によるとこの岩、今は苔などで覆われていますが、70年ほど前は苔などもなく、本当にピカピカ光っていたとのことです。この光岩周辺の石を使った石積があり見てみると、薄茶色のきれいなチャートでした。

『夫婦岩』(岩種:チャート)
地名の由来となっていると思われる巨石が長山田川の上流に谷を挟む形で一対あります。地元の方によると一つが男岩でもう一つが女岩、見分け方は男岩の方が岩の色が黒いということです。

『瀧ノ宮歩危(※2)・どんどん岩』(岩種:チャート)
本村の岩の川谷川が仁淀川に合流する地点の仁淀川沿いに大きな岩の壁があります。この一帯の岩石は火打石にも使われていたとても硬いチャートで、さすがの仁淀川でも岩を浸食するのが難しく、この岩に当たった流れは川底を削り一帯は深い淵になっています。また岩の川谷川にかかる橋「どんどん橋」辺りから川の中を見てみると硬いチャート巨石が川の中にいくつもの滝(段差)をつくり川の水が「どんどん」と落ちながら流れている雰囲気です。
※2 ボケ(ホキ):川辺崖岨な道

『砥石谷川』(岩種:蛇紋岩)
錦山公園内を流れるこの川は蛇紋岩地帯を流れており、蛇紋岩にはしばしば滑石が含まれ、砥石谷川の蛇紋岩も水に濡らしてこするとツルツルし、いかにも砥石(※3)に使えそうな感じです。
※3 砥石として使用できる石材がある場所は各地に地名として残っています。

•取材協力
・前田巳千子氏
・前田保子氏
・富田三男子氏
・田中登茂久氏
•参考資料
・産総研地質調査総合センター「伊野地域の地質」2007年
・片岡雅文「土佐地名往来」『高知新聞』2005年11月17日、2012年10月29日
・日高村文化財保護審議委員会「日高村文化財誌」1972年

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