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No.190博物館だより 横倉山の蝙蝠(コウモリ)しらべ つづき

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高知県越知町

これまで横倉山の調査で見つかったコウモリの中から、森に暮らす種類を紹介してきました。最後となる今回は、町に暮らすコウモリを紹介します。
春から秋の夕方、まだ明るい時間に越知町内の住宅地や中心市街地で空を見上げると、小さなコウモリが飛んでいるときがあります。このコウモリの種類は、たぶんアブラコウモリです。
大きさは、鼻の先からしっぽの先まで(全長)が67~97mm、体重が5~11gで、横倉山を含む越知町内で見つかっているコウモリの仲間8種類の中では、小さい方です。このアブラコウモリ、珍しいコウモリではなく、東アジアの広い地域に生息していて、国内では、北海道南部から本州、四国、九州、伊豆諸島、沖縄諸島までの、ほぼ日本全国で見つかっています。別名、イエコウモリ(家コウモリ)とも呼ばれます。名前のとおり人が住んでいる家に住み着くコウモリで、不思議なことに、森林の中や洞窟ではほとんど見つかりません。日中の休息場は、屋根の瓦の隙間、雨戸の戸袋などで、1cm程度の隙間があると、そこから中へ潜り込みます。数個体から数十個体の集団を作りますが、居心地が良いところでは200頭以上が集まるときがあります。これだけ多くのコウモリが集まるとたくさんのふんをしますので、家が汚れてしまい、人に嫌われることが多いです。
そのため、私のところへはときどき「うちにコウモリが来て、ふんをされて困っている。何とかならないか?」という相談がきます。対策としては、「コウモリが出入りしている隙間を見つけて、そこへ詰め物をしてふさぐ」、「コウモリが入り込んでいる場所の中に明かりをともしたり、風通しを良くしたりして環境を変えてみてください」とお話ししています。ただし、「出入り口をふさぐタイミングは、夕方コウモリが外へ食べ物をとりに出かけてからがいいです」、そして「子育てをしているときは、お母さんコウモリは子コウモリを置いて出かけていくので、入り口をふさぐと子コウモリが死んでしまいます。ふさぐ作業は子育ての時期を外しましょう。アブラコウモリの子育ての時期は、6~8月(地域によって違いはあるのですが…)です」とお話ししています。
また、そのようなときには、コウモリが食べている物についてもお話しするようにしています。これまでの研究によるとアブラコウモリが食べている物は、夕方から朝にかけて空を飛ぶ昆虫です。その中には、ハエのなかま、カのなかま、ガのなかまなど人の健康を害する種類が多く含まれています。また、カメムシのなかまや甲虫のなかまも食べているそうで、この中には農林業の害虫も含まれています。コウモリたちはこれらの昆虫を春から秋の間、毎晩食べます。アブラコウモリ一頭が一晩で食べる昆虫の量はまだあまり研究が進んでいないのですが、決して少なくないと思います。アブラコウモリは人の家に住み着いて、人が生活しているところで、毎晩多くの昆虫を食べて暮らしているのです。もし、突然このコウモリたちがいなくなったら、コウモリたちが毎晩食べていた昆虫たちはどうなるでしょう?おそらくこれまでコウモリたちに食べられていた分の昆虫たちが生き残り、人の健康や農林業に被害が出るようになるかもしれません。
私は四国のコウモリの調査を、今年も進めていきます。「うちにコウモリが来て、困っている」、「ときどき、家の中にコウモリが落ちている」という方、いませんか?博物館へ、どうかご連絡ください。お知らせいただきましたら調査に伺います。コウモリが住み着いている様子を見させていただき、コウモリにとっても、人にとってもうまくいく対策を一緒に考えたいと思います。ご連絡、お待ちしています。
横倉山自然の森博物館学芸員 谷地森秀二

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