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倉吉の町並みを守り続けて

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鳥取県倉吉市

~重要伝統的建造物群保存地区選定25周年、倉吉町並み保存会設立20周年を迎えて~
倉吉の歴史的な町並みが国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されてから、今年で25周年を迎えます。保存と活用に向けたこれまでの歩みとこれからの取り組みについて紹介します。

◆倉吉のシンボルとして
倉吉の町並みは室町時代に山名氏によって築かれた打吹城の城下町が原型となり、江戸時代に鳥取藩家老の荒尾氏の治める陣屋町として整備されたものが今に続いています。
町並みの特徴は大きく分けて2つあります。1つは腰格子や繊細な出格子、時代によって移りゆく腕木などが残る商家の主屋を中心とした本町通りで、江戸時代から明治・大正時代にかけて商工業都市として繁栄した倉吉の町を今に伝えています。
もう1つは、本町通りと新町通りの間を流れる玉川沿いの景観です。玉川の南岸は商家の裏側にあたり、土蔵が建ち並び、玉川の護岸の石積み、土蔵外壁の焼き杉板の縦貼りや白い漆喰壁(しっくいかべ)などが歴史的な景観を醸し出しています。
◇重要伝統的建造物群保存地区 選定25周年
この町並みは、平成10年12月25日に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。平成19年のアーケード撤去後、平成22年に西町までの9.2ヘクタールが拡大選定を受け、本格的に保存活動が始まりました。
「伝統的建造物群」とは、文化財保護法に掲げられる文化財の一つで、価値が高い歴史的な集落や町並みのことをいいます。
伝統的建造物群とその周囲の建造物を含めた地区のうち、価値の高いものが国に選ばれて「重要伝統的建造物群保存地区」(以下「保存地区」)と呼ばれます。
文化財保護法に「周囲の環境と一体をなして」とあるように、価値ある古い建物や塀・石橋だけが保存地区なのではなく、そこに暮らす人々が長い時間をかけて育んできた伝統も含めて「保存地区」なのです。

◇保存地区を守る市の制度市
市は平成8年10月に「倉吉市伝統的建造物群保存地区保存条例」を制定しました。保存地区内での現状変更行為(建物の新築や解体など)に対して規制を設ける一方で、保存地区の歴史的景観を守るため、建造物の修理事業への経費補助を実施しています。

◇住民による保存地区を守る取り組み ー倉吉町並み保存会設立20周年ー
「倉吉町並み保存会」は、保存地区内で火災が発生した平成15年に、地区の住民が主体となって設立されました。保存地区の歴史的景観を守り後世に継承するとともに、活気あるまちづくりを目的に活動を行っています。
令和5年度からは「町並み保存活用部会」を新設し、空き家・空き地の活用相談や情報収集、保存活用事例の紹介など、課題解決に向けた新たな取り組みを検討しています。

◆伝統を守り、活(い)かす
◇住み続けることが、守り続けること
選定から25年、住民の皆さんや関係機関の尽力により保存地区が守られてきました。今後も文化財として守り続けるためには、住民が生活の場として住み続けることが重要です。
そのために倉吉打吹流しびな、地元の小・中学生による玉川清掃、成徳小学校3年生が学ぶ総合学習など、行事や学習を通して保存地区の次世代の守り手を育成しています。
また、火災の経験を活かし、平成17年に地区内の防災センターとして「くら用心」(東仲町)を設置しました。鳥取県中部地震の教訓も踏まえ、倉吉町並み保存会を中心に消火訓練の実施、防災マップの作成など、防災意識を高めています。
保存地区の伝統的工法や修理事業を広く周知するため、伝建修理報告会や設計士・施工業者対象の「伝建勉強会」も行っています。

◇商い、活かすこと
保存地区は年間約60万人(平成29年)が訪れる観光地にもなっており、イベントもにぎわっています。空き家を修理活用した移住者やゲストハウスなどの空き家・店舗活用も増え始め、活性化も進んでいます。
観光やイベント開催などのにぎわい創出と同時に、文化財としての保存の観点も踏まえながら活用していくことが必要です。

■フォーラム開催のお知らせ
倉吉の歴史的景観が文化財として高く評価され、多くの観光客が訪れるようになると同時に、課題も見えてきました。市の伝統的な町並みの原点を再認識し、「住む」、「活かす」、「商う」立場から意見を出し合い、倉吉の町並みの今後について考えるフォーラムを開催します。
◆倉吉市制70周年記念事業
倉吉市打吹玉川重伝建地区選定25周年・倉吉町並み保存会設立20周年記念フォーラム
「伝統的な町並み「倉吉」を今後に―住む 活かす 商う―」
日時:10月8日(日)午後1時~4時半
場所:倉吉交流プラザ 視聴覚ホール
◇主催
倉吉市、倉吉市教育委員会、倉吉町並み保存会

◇内容
第1部:記念講演
「まちの継承から見えること 刻む・磨く・拓(ひら)く」
上野勝久(うえのかつひさ)さん(東京芸術大学大学院美術研究科教授)
第2部:パネルディスカッション
・問題提起
(1)住民の立場から 矢吹泳司(やぶきえいじ)さん (倉吉町並み保存会会長)
(2)観光の立場から 倉繁淳志(くらしげあつし)さん (倉吉観光MICE協会事務局長)
(3)商う立場から 平真(たいらまこと)さん ((有)たいら代表取締役)

問合せ:文化財課
【電話】22-4419【FAX】22-2303

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