■インタビュー くらしよし倉吉プロジェクトは何を目指すのか?
市と小田急電鉄株式会社は、互いの保有する資源を有効活用して地域創生を推進することを目的に、令和5年1月19日に包括連携協定を締結しました。令和5年12月5日には、その取り組みをさらに推進するため、3人の「地域戦略パートナー」が市の委嘱により誕生しました。
地域戦略パートナーとなったうちの2人、小田急電鉄株式会社デジタル事業創造部課長兼IFLATs(アイフラッツ)チーフプロデューサーの阪川尚(さかがわひさし)さん・株式会社フカヤ代表取締役社長の深谷晋一(ふかやしんいち)さんと、倉吉市企画課美術館まちづくり推進室の木藤隆親(きとうたかちか)室長に、プロジェクトが開始されたきっかけや目的について聞きました。
――まずは、「くらしよし倉吉プロジェクト」が始まったきっかけについて教えてください。
阪川尚さん(以下、阪川):私はもともと、「組織で働く人のモチベーションアップと組織成長の両立」についての基礎研究を行っていました。小田急電鉄株式会社(以下、小田急)は鉄道事業の会社ですが、駅を中心として沿線の街にも深く関わることになるので、街づくり、人づくりも重要です。
数年をかけて研究の成果を確かめる段階まで進んだのですが、沿線の都市はすでに小田急になじみがあり、まったくのゼロから検証をスタートできない。そこで、全国から研究を実証できる街を探していたんです。
深谷晋一さん(以下、深谷):私は倉吉市出身で、県外からUターンしてきました。倉吉に帰ってきたとき、なんだか街に元気がないような「モヤっと感」があったんです。このままでいいのかなと思っていました。そんな思いを抱えていたとき、ちょうど阪川さんと話す機会があって。
阪川:私は研究の成果を確かめたかったし、深谷さんは倉吉を元気にしたかった。2人で、「じゃあ、やってみるか!」となったんです。もちろん、実際にプロジェクトが始まる前には、さまざまなデータを取って実現可能性をきちんと検証しました。
木藤隆親室長(以下、木藤):市役所の内部でも、倉吉をもっと活気あるまちにするために次の手を打つべきだと感じていました。2025年には県立美術館も開館するので、関係人口を増やすために相乗効果を狙えるタイミングだと考えたんです。2人の話を最初に聞いたときは、「難しいだろう」と思ったんですが。
――「くらしよし倉吉プロジェクト」の目的はなんでしょうか。
木藤:いろいろあるんですよ。まず、関係人口の増加、雇用の創出が大きな目的です。
阪川:地域の人に「倉吉って、いいじゃん」と思ってほしいというのもありますね。一度市外に出た人が帰ってきたり、市内で働くことを考えたりするためには、そういった気持ちが大事だと考えています。
深谷:そうですね。地域が元気になるためには、その地域に住む人が元気になることが不可欠です。そういった、地域を盛り上げてくれる人材を育てることも目指しています。
――たくさんありますね。ひとことで言うと?
阪川:「地域の自走」です。
木藤:地域の経済をもっと活性化させて、人やお店、まちに活気のある地域にしたいと考えています。将来に期待が持てる、長く暮らしていける地域にしていく。これが目的ですね。
深谷:わかりやすく「これをやります」ということは言いにくいし、あえて簡単に言わないようにしている面もありますね。何か建物を立てて終わり、何か開催して終わり、というプロジェクトではないんです。
――プロジェクトを始める前には、倉吉市や市民についてしっかりと調査を行ったと聞きました。
阪川:「市民満足度調査」ですね。やみくもに進めてもうまくいかないので、客観的に見て倉吉がどういう地域で、市民はどんな傾向があるのかデータ化しました。
深谷:市外の人が倉吉を見て、「ここがいい」という具体的なポイントを話してくれるんですよね。いいところや魅力はたくさんあるんです。でも、市内の人は「そうかなあ」と素直に受け取れないというか。倉吉の人はそういうシャイなところがある。
木藤:長く住んでいる人も、意外と知らない倉吉の魅力がある。まずはそれを素直に受け止めて、自分たち自身で理解していくことが大切だと思っています。いいところも悪いところも、客観的に見ていくことが必要です。
――最後に、倉吉の皆さんには、どのようなことを伝えたいですか。
深谷:「これからおもしろいことが起こるんじゃないか」とか、「何が始まるんだろう」というようなワクワクした気持ちでプロジェクトを見守っていただけるとうれしいです。
阪川:「これから良くなるんじゃないか」という期待感って、日常生活を確実に変えてくれるので。
木藤:「くらしよし倉吉プロジェクト」はこれからもどんどん動いていくので、そういった期待感を持って見ていてくださるとうれしいです。
■活気あふれる元気な倉吉を一緒に作りましょう
[倉吉市長 広田 一恭]
一昨年4月に市長に就任してから、活気あふれる元気な倉吉の実現を目指して駆け抜けてきました。その中で改めて思いますのは、活気あるまちをつくるのは、ここに暮らす「人」だということです。「ひとを育て、まちを育てる、くらしよし倉吉プロジェクト」は、まさに「人」を起点に、根っこから育て、事業を展開しています。
参加した若者から、「まちを元気にするため、友達と移住者を増やす取り組みを始めたい」と伺った時は、プロジェクトの成果に繋がる芽が育ち始めていると実感しました。また、小田急電鉄株式会社をはじめ都市部の企業で働く人との連携も活発になっています。倉吉で新たな挑戦をしたいという自発的な行動も起き始めています。
芽が出て(人を育て)、幹が育ち(まちを育てる)、成果が出るまで時間がかかるプロジェクトですが、「やればできる」という成功体験を少しずつ積み重ねながら、中長期的な視点で取り組みを進めていきたいと思います。
令和7年3月には、鳥取県立美術館が開館します。このチャンスを最大限に活用しながら、「くらしよし倉吉プロジェクト」で活気あふれる元気な倉吉を一緒に作っていきましょう。
■おわりに
「ひとを育て、まちを育てる、くらしよし倉吉プロジェクト」は令和7年春の鳥取県立美術館開館を追い風に、これからも関係人口の増加や経済効果の拡大を目指します。倉吉がどのように変わるのか、これからもぜひご注目ください。
■詳しくは
今後の「ひとを育て、まちを育てる、くらしよし倉吉プロジェクト」関連情報・募集情報は、市報や特設ホームページ「LABPARK(ラボパーク)KURAYOSHI(クラヨシ)」で随時更新していきます。
問合せ:企画課
【電話】22-8161【FAX】22-8144
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