法令に基づき、市町村に設置された公的な消防機関である消防団。
今回は倉吉市消防団がどのような現状にあるのか、また新時代へ向け、どのような取り組みをしているのか、団長はじめ団員の皆さんのインタビューを交えてお伝えします。
普段は会社員や学生、主婦として生活している人が「自分たちのまちは自分たちで守る」という精神のもと、災害が発生した際には消防団員となり、地域の安全を守るために活動しています。火災発生時の消火活動のみでなく地震や風水害など大規模災害時には水防活動や救助・救出活動、避難誘導なども行っています。
倉吉市消防団は、本部および16分団、女性分団で構成されています。各地区ごとに配置されている16分団は、管轄区域内において火災予防広報活動や消火活動、災害防御活動を行います。また、消防署と連携した消火訓練や各地区・自治公民館などで行う防災訓練に参加し、地域防災力の向上を図っています。
一方、女性分団は倉吉市消防団の普及活動や災害時の後方支援を担っています。各種イベントで消防団のPRを行ったり、災害が発生した際には避難所での炊き出しや避難者の相談対応を行います。
地域のつながりが希薄になっている現代だからこそ、地域の建物や地形、河川の状況などを把握している消防団の力がより必要な時代となってきたのではないでしょうか。
▼倉吉市消防団組織図
■消防団のココがすごい!
(1)地域に密着
地元の人が多く所属しているため、地元だからこその知識や技術を生かし、災害防御活動を行うことができます。
(2)要員動員力
倉吉市消防団には市内に住む423人(令和6年11月1日時点)が所属しています。大規模災害が発生した際には、多数の人員を災害防御活動に動員できます。
(3)すばやい対応力
消防団員は皆さんの近くに住んでいます。災害が発生した際には、消防、警察、自衛隊が機能する前段階で、いち早く現場へ駆けつけることができます。
■Interview 学生でもできる!ライフスタイルに合わせた活動を
女性分団:足立唯衣(あだちゆい)さん(20歳)
米子市出身
鳥取看護大学看護学科3年生
将来、救急看護の分野で活躍したいという夢があり、大学では防災サークルに入りました。サークル活動をするなかで消防団の方とご一緒する機会があり、その際、女性分団員の方に声をかけていただいたのが入団のきっかけです。
女性分団員の活動は広報活動が中心で、土日に半日程度の活動と聞き、「学業の妨げになることなく私でもできる!」と思い、サークルの延長のような感覚で入団しました。
もともとイベント好きな私には、大会やパレードが大人の運動会のようで楽しく、幅広い世代で交友の輪も広がりました。もちろん防災知識も身につくので、将来に向けて楽しみながら活動していきたいです。
女性でも生活の負担にならない範囲で活動できるので、いろいろな方に入団していただきたいです。
■Interview 年々減り続ける団員数と、新時代の取り組み
団長 中本博丈(なかもとひろたけ)さん(60歳)会社員
◇不足する担い手
父が関金町消防団員だったので、交代で入団しました。昔はそれが普通でしたが、今の時代は難しいですよね。そもそも市の人口が減少する中で、若者は都会に流れていく…。私も会社勤めをしていますから、昼間の出動がしにくかったり、会社に言いにくいなどという気持ちも理解できます。
◇今の時代にあった取り組み
「消防団員確保対策検討委員会」を設置し、若者や市の職員対象にアンケートをとり、意見を収集しました。アンケートを参考に、昔ながらの軍隊さながらの厳しい訓練をやめたり、悪天候でも屋外でしていた式典を屋内にするなど、少しでも団員の負担が減るように改善しているところです。
◇感謝の言葉に勝るものなし
「自分の命を守れて初めて人の役に立てる」団員にもよく言っている言葉です。無理のない範囲で活動していただきたいと思っています。時には力仕事や行方不明者の捜索などもあり、楽な活動ばかりではありませんが、市民の方に感謝の言葉をいただいた時が、「やっていて良かった!」と思う瞬間です。
【消防団員数の推移】
単位:人
↑過去10年減り続ける団員数
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