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町長室から No.76

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鳥取県南部町


南部町にお住いの高齢者が亡くなり、そのご家族が「相続放棄」をする事例があります。相続放棄された土地は、「国のものになる」と思っておられる方もおられますが、実は誰も管理することができない荒れ地を生む原因にもなっています。また、本年から相続した土地を国の所有にする「相続土地国庫帰属制度」がはじまりました。しかし、家を取り壊し更地にすることや、10年分の管理費の納入が条件になっており、農地や山林の面積によっては高額な費用を支払わなければならない制度になっています。このような相続によって土地と金融資産が町から流出することが問題になろうとしています。
昔話になりますが、出かけた集落の長老から共有林について興味深いお話をお聞きしました。かつて共有林は集落のエネルギー源であるマキを生み出し、そして木を売ってお金にすることもできる文字通り宝の山だった。そんな重要な財産だったので、集落を出ていく人は権利を放棄し、新たな住人には権利を買ってもらうのが共有林の決まりだったというのです。この共有林の知恵から学べば、農地や山林、さらには住居や宅地を集落のために有効に利用する方法があるのではないかと考えています。
南部町の町外土地所有者、いわゆる不在地主は面積比で現在23・5%ですが、今後さらに増加することが予想されています。これまで土地の問題は個人資産であることから、他人が口を出すことではないという風潮でした。家族の形が変化し、かつてのような兄弟や親戚が協力して家を守る社会には戻れない現実があります。であるならば、これからもこの地域で、この集落で暮らし続けるためには、現代版の共有財産システムを作る必要があるのではないでしょうか。
南部町長 陶山清孝

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