■ガマズミ
◇冬の赤い実シリーズ
これまでこの連載の中では、晩秋から冬にかけて目を引く赤い実に10種類以上登場してもらいました。2007年のフユイチゴ、2011年のサルトリイバラ、2014年のヤブコウジなど、それぞれ野鳥や小動物に食べてもらうため目立つ姿に熟します。まだご紹介していない赤い実シリーズがあるのですが、中には人にとって有毒の果実もあるので、楽しむためにはある程度の識別できるアンテナが必要ですね。今回のガマズミは私たちが摘んで味わっても大丈夫で、そっくりさんのミヤマガマズミやコバノガマズミも同様に、各地で食用とされています。
◇どっちが多い?
南部町の里山を歩いていると、作業道の林縁などではどちらかと言えば、葉っぱが小さいコバノガマズミをよく見かける印象があります。ガマズミの方が出会う回数が少なく写真もあまり残っていません。世界的な分布では、コバノガマズミが日本固有種であるのに対し、ガマズミは中国や東アジアなどより広範囲に自生しています。我が家の取材する場所に偏りがあることも、出会える生き物に差が出る要因と考えられますが、今後も町内の確認地を意識して記録を取りたいと思います。
◇我が家の庭に!
数年前に、植えた覚えのない大きな葉を持つ落葉樹が生えていることに気がつきました。なんとそれは「あまり見かけないな〜」と思っていたガマズミだったのです。外構の低いフェンスのきわから伸びた枝は高さ150センチを越えました。おそらく庭にくる小鳥たちのどれかがフェンスにとまって、糞と一緒にガマズミの種を落としたのでしょう。まだ実も花もつけたことがない若い木ですが、思いの他横に成長するので、路上に出ないように剪定鋏でチョンチョンと散髪する感じで枝を落としています。もしかしたら何年後かには、自宅敷地内でガマズミの甘酸っぱい赤い実を味わえる日がくるかもと、密かに期待しているところです。
自然観察指導員 桐原真希
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