町長室から No.87

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■充実した縮小社会
南部町が誕生して20年の節目を迎えました。この間、わたしが一番変化を感じるのは人口減少と気候変動の影響です。日本の赤ちゃんの出生数は110万7千人から72万7千人へ減少しました。南部町内でも出生数は99人から44人に減少し、合併時1万2,300人の人口は1万人を切ろうとしています。また、気候変動では台風の巨大化や局所豪雨などが当たり前に発生し、数年ごとに発生する巨大地震への備えも忘れてはなりません。さらに、夏の高温は農作物や水産物への影響をはじめ、私たちのくらしは危機にさらされているといわれています。
英国のリンダ・グラットン教授は、日本でもベストセラーになった著書「ライフシフト100年時代の人生戦略」の中で、日本の現在17歳の世代が107歳まで生きる確率は50%だと述べています。日本が世界最高の長寿国であることは誇るべき事実です。今年、南部町で100歳以上のご長寿の方は16名。今後も人生100年時代を元気に自分らしく生き抜く方が増えていくことでしょう。それは、これまでの人生80年時代の20年学び40年働き20年余生を楽しむという人生3ステージから、人生100年時代にあっては、4ステージまたは5ステージの多様な人生戦略が必要になってくるとグラットン教授は述べています。
南部町のこれからの20年。人口が減少し、気候変動の影響にも対応した足元のしっかりした安全な南部町をめざさなければなりません。そして、南部町で育つ子どもたちが夢や希望をもち、若者から高齢者までの世代がそれぞれの持ち場で支えあうことも重要です。自分らしく人生を謳歌できる、縮小しながらも充実した社会、「縮充社会」をめざしていきましょう。

南部町長　陶山清孝