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南部町のいきものたち(203)

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鳥取県南部町

■コアカミゴケ
◇森の赤頭巾
令和のご時世、ライターやチャッカマンに置き換わり、使う機会も見る機会も減ってしまったマッチ棒。観察会で「まるでマッチ棒のような形」という説明が通じるのは限られた世代のようです。赤い部分が小さな頭巾のようにも見え、立ち上がって並ぶ姿はまさにマッチの軸が刺さっているような小さな生き物。種類を調べる時、苦し紛れで「赤い帽子のついたコケ」という言葉でネット検索をかけたら、バッチリ同じコが出てきました。おそらくコアカミゴケと思われる地衣類の仲間です。コケと名前がついていますが、実はコケのグループではない、というオチもありました。

◇北側が好き?
これまで、この赤頭巾ちゃんを見たことがあるのは、天萬の龍門寺の森の北側、馬場の長田神社の北側、森の学校アスレチックコースの北側と、寒い季節の比較的大きな木々が沢山ある森や社寺林で、日当たりが悪い朽木や切り株といった所ばかりです。もしかしたら、お寺や神社の裏側などを探すと、ひっそりと生えているかもしれません。これまたそっくりさんがいらっしゃり、硫黄臭がするような活火山地帯や硫黄温泉などがある山地では、イオウゴケという種類があるとのこと。こちらはモンローリップというあだ名もあり、赤い部分を映画俳優マリリン・モンローに見立てて、キスをするようなすぼめた唇に、真っ赤な口紅が塗られているように見えることから色っぽい呼び名が使われています。コアカミゴケにもチューの口をしたのが見つかるかチェックしてみたいところです。

◇地球の大先輩
地衣類は、種子を作る草や木よりも、そして恐竜たちよりもずっと前から地球で暮らしている大先輩です。約5億年前に地衣類とコケ類が誕生したとされています。しかし、地衣類は藻類と菌類が共生しているやや特殊な生き物で、生物分類としては菌類の扱いです。法勝寺川の川土手に並ぶソメイヨシノの幹肌にも、同じ地衣類のウメノキゴケの仲間がよく目につきます。土がなくても岩やコンクリート、枯れ木などで暮らしていけるたくましい生き物、地衣類。この冬探してみませんか?

自然観察指導員 桐原真希

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