文字サイズ
自治体の皆さまへ

南部町のいきものたち(204)

30/34

鳥取県南部町

■ゲンゲ(レンゲ、レンゲソウ)
◇里山の春の風景
早いところでは3月中旬から咲き始める田んぼの花、レンゲソウ。江戸時代から記録がある中国原産の帰化植物で、標準和名はゲンゲと言います。一般的には別名のレンゲの方が馴染みのある響きかもしれません。漢字では蓮華。ハスの花を意味しています。レンゲのピンクの花が小さなハスに見えなくもないですね。ちなみにゲンゲは漢名の読み方からきています。以前より、緑肥にレンゲが使われていましたが、現在ざっと調べただけでも40以上の自治体で「れんげ米」の名前のお米が販売されています。

◇素敵なレンゲ畑だけど
広範囲で田んぼにレンゲが咲いている風景は、花言葉の「心が和らぐ」の通り、どこか安心する景観です。しかし、2023年春に、愛知県でレンゲ畑に無断で園児を載せたバスが乗り付け、圃場を荒らしてしまいネットニュースになりました。レンゲの成長過程で株が傷むと、窒素固定のためにわざわざ種を買って育てているレンゲの効果が低くなってしまうのです。そもそも田んぼは私有地で勝手に入ってはいけない場所です。許可なく畦を歩いて三脚を立てたりするカメラマンとのトラブルも各所で発生しています。一方で、レンゲ畑で子どもを遊ばせたいという住民の声もあり、ある博物館ではレンゲをすき込む前に自然観察会を開催したり、レンゲ畑の持ち主の方が、普段は立ち入り禁止の看板を設置し、すき込む直前に一時的に田んぼを開放して、レンゲ摘みを楽しんでもらうところもありました。観光資源と自然体験提供の場の活用について、よき折り合いができればと思います。

◇レンゲ畑復活?
一時期は、種子の価格の高さや、化学肥料の使用、お米の栽培スケジュールの前倒し、害虫被害などで、レンゲ畑が全国的に激減しました。しかし、昨今の肥料高騰や景観保全、養蜂業者の連携などの利点も見直され、導入する農家さんが増えてきたとのこと。里山の風景の一つとして田植え前のピンクの絨毯が町の元気にもつながればと思います。

自然観察指導員 桐原真希

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU