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南部町のいきものたち(207)

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鳥取県南部町

■ガムシ
○ガムシのガは「牙」
「まるでアーモンドチョコレートじゃん!」3センチ超えの大きく艶やかな水生昆虫の第一印象はこれでした。ガムシの名の由来の「牙(きば)」は一体どこにあるのかは、上から見ただけでは分かりません。もし、ガムシを捕まえてお腹をチェックできたら、その理由に納得できると思います。なんと、胸の真ん中に長く鋭い牙のようなものがあり、腹部の方に尖った部分が伸びているのです。敵を攻撃するには刺すことができない角度で、何のために使うのかはっきりしてないとのこと。一説では体の下面に空気を溜めるためとか、泳ぐ際にバランスを取るための船のキール代わりではという見方もありますが、棘の有無でどんな違いが出るのか、研究素材として気になるところです。

○ガムシ3兄弟
ガムシは町内のため池や水路で比較的よく見る種類ですが、トノサマガエルやアカハライモリなどと同様に、環境省の準絶滅危惧に分類されています。好条件の場所では、大中小のガムシ3兄弟、ガムシ、コガムシ、ヒメガムシと3種類見つかることもあります。しかし、2センチ弱のコガムシも環境省レッドデータブックで注意が必要な情報不足(DD)というカテゴリーに入り、1センチ程のヒメガムシも鳥取県の情報不足扱いになっています。ちなみにガムシ類は前脚の先に小突起があればオスと分かります。

○幼虫は肉食!
ガムシの成虫は、水草や枯れた植物に動物の死骸などを食べる雑食性ですが、幼虫は大きな顎で獲物を襲って体液を吸う肉食系で、巻貝を食べたりおたまじゃくしを狙ったりすることもあります。つまり、ガムシの仲間がいるということは生き物の賑わいが豊かな水辺がある目安になるのです。どうしたらそのような場所が作れるか、ヒントは「L字型素掘り明渠(めいきょ)」です。田んぼの長辺短辺沿いに掘られた幅50センチ、深さ50センチくらいのL字型の素掘りの明渠(溝)が生き物たちの避難場所となり、マルタニシやドジョウなどの絶滅危惧種が見つかった例が多数あります。土地の保水力と地域の生物多様性にもプラスになる良好な止水域、里山の大事な要素かもしれませんね。

自然観察指導員 桐原 真希

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