監修:江府町立図書館館長 宇田川 恵理
こんにちは!江府町立図書館の宇田川です。江府町立図書館の本棚にある、ちょっと気になる「こんな本」を、紹介していきたいと思います!
■『ランチ酒』
原田ひ香(祥伝社)
主人公は、夫と離婚し、夜から朝まで寝ずの番をする「見守り屋」として働く犬森祥子。夫の元に娘を残してきたことを後悔しつつも、引き取ることもできず、悶々とした気持ちを抱えています。そんな祥子にとって、仕事明けのランチとお酒は、日々を生きのびるための、なにより大事なものとなっているのでした。
この作品の魅力の一つが、その食事のシーンです。とにかくおいしそうで、読みながら、食欲がどんどん刺激されます。お酒の味の描写もうまく、下戸の私でもちょっと飲んでみたいと思ってしまうほどです。
もう一つの魅力は、祥子に仕事を頼む依頼人たちです。それぞれが見守りを頼まざる得ない事情を抱えていて、醸し出される生きることの切なさが、物語に奥行きを与えています。そして、依頼人たちと関わる中で、祥子自身の気持ちや境遇も変化していくのでした。おいしさと切なさが、絶妙にからみあう、おすすめの1冊です。
◎宇田川館長
読み始めると止まらない1冊です‼
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