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[特集]会下(えげ)部落地域資源・環境保全プロジェクト 最優秀賞を受賞!

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鳥取県鳥取市

多面的機能発揮促進事業中国四国農政局長表彰(多面的機能支払)

◆地域に根差したプロジェクトとして
気高町会下は、鳥取市の西部に位置する逢坂地区にある集落です。この地区はおよそ430年前、鹿野城主・亀井茲矩(かめい これのり)によって新田が開発され、農業用水のため池として現在の代表的な水瓶である「大堤池(おおつづみいけ)」が整備されたと伝えられています。
この度、中国四国農政局長表彰を受けたプロジェクトは、会下集落の不耕作地を復田し、維持するための取り組みです。全国的に問題となっている農業の担い手・後継者不足は会下集落も例外ではなく、農地を維持するため、平成19年に「会下部落地域資源・環境保全プロジェクト」が発足しました。以来、農地の集約化を進め荒廃を防ぐとともに、地域の活性化に取り組んでいます。
本紙次のページでは、多面的機能の増進を図る活動として評価され、最優秀賞受賞の決め手となった取り組みの中から、「うぐい突き」と「芝桜の植栽」を、プロジェクトに携わった人のお話と一緒に紹介します。

《会下はここ!》
定農用地面積:21.8ha
世帯数:29戸(農家11戸、非農家18戸)

◆地域住民や学生と協力し取り組んだ17年間
会下部落地域資源・環境保全プロジェクト会長
谷尾 幹夫(たにお みきお)さん

活動が始まったのはおよそ17年前、当初は草刈りや掃除などが主な活動でした。それまで無償だった作業が交付金の対象となり、最初は勢いがありました。しかし年数が経つうちに高齢化が進み、徐々に活力が失われ、継続できるか危ぶまれるようになりました。
転機となったのは10年ほど前です。大学生や集落の青年部が活動に参加してくれるようになり、新たな活力が生まれました。また、交付金の制度に合わせて活動が拡大し、鳥獣被害対策や景観保全活動を始めました。大堤池への芝桜の植栽もこの時期から始まり、今では多くの人が訪れる名所となっています。
若い人が入ったことでさまざまな変化があり、特に地域の魅力を再発見できたことと活力をもらえたこと、この2点が大きいと感じています。住民とは違う視点での意見により、地域の魅力に改めて気付くことができたと共に、集落に元気を与えてくれました。伝統行事であるうぐい突きも、若い力があって継続できています。また地元の小学生と交流するなど、地域の活性化にもつながっています。これらの取り組みも今回の受賞につながりました。
現在の活動をいかに継続していくかが今後の課題です。定年が延びることで農業に携わる人も減り、部落自体も人が減る一方なので、それらを考えて今後の計画を立てる必要があります。部落のみんなで支え合っていきながら、多世代にわたって心の豊かさを享受できるような地域活動を続けていきたいと思います。

《大堤池の芝桜》
○「会下方式」でかれんな苗を育成
毎年春になると、大堤池の堤や農道の法面にまるで絨毯(じゅうたん)のように芝桜が咲き誇り、多くの人が訪れます。特に大堤池は、遠くに鷲峰山を望む癒やしの農村空間として親しまれています。この芝桜は、山口県への先進地視察をきっかけに、集落の女性メンバーを中心として始まった取り組みで、地元の小学生も一緒になって植栽しました。また、苗は誰でも簡単かつ低コストでできるよう独自に挿し芽を工夫する「会下方式」で育成を行っています。

◆若い力を生かして
公立鳥取環境大学1年生
越智 彩希(おち あやね)さん

令和5年10月に開催されたうぐい突きで、所属しているサークルの露店販売に参加し、谷尾さんや会下集落のみなさんと出会い、現状や思いを聞いたことがきっかけでプロジェクトに携わるようになりました。
うぐい突きを若い世代に広め会下を知ってもらうため企画立案、会下のみなさんとの交流、芝桜の管理の手伝いなどをしています。また、令和5年11月に「うぐい突き広め隊」というチームを発足させ、Instagramでうぐい突きの魅力を発信しています。今後はXとYouTubeにも参入する予定で、うぐい突きや会下に興味を持ってもらえるよう活動を行っています。
自分たちの活動に興味を持ってもらい、イベントに参加したいと声をかけてもらえることがやりがいになっています。まだ始まったばかりの活動ですが、会下集落・うぐい突きに向ける思いは人一倍あります。また、今年2月の環大コンペにて活動の発表を行い、社会部門2位とルーキー賞を受賞しました。自分たちの企画に対する思いや考えをブラッシュアップし、他の出場者から新たな意見を得られる良い機会になりました。
プロジェクトに参加し、うぐい突き広め隊を創設したことで、関わることがなかったかもしれない会下のみなさんと関わることができました。「伝統を守る活動」に携わることで自分の成長にもつながっていると思います。これからも、魅力発信と伝統継承を会下のみなさんと協力しながら行っていきたいです。

《うぐい突き》
○全国的にも珍しい農村文化の伝承で地域活性化
大堤池では、毎年秋に池の水抜きや泥吐けに合わせ、春に放流したフナなどを取る「うぐい突き」が行われます。「うぐい」とは、竹で編んだ筒状の道具で、東南アジアから伝わった400年来の伝統漁法といわれ、鳥取県重要無形民俗文化財に指定されています。大堤うぐい突き保存会とプロジェクトのメンバーが中心となり、地元農家をはじめ地域内外から小学生や大学生がボランティアで参加してにぎやかに行われます。

▼多面的機能発揮促進事業中国四国農政局長表彰とは
水路や農道といった地域資源の保全管理など、農業が有する多面的機能の発揮を促進する事業において、優秀な取り組みを行う組織などに与えられる表彰です。
中四国管内の各県がそれぞれ1組織を推薦し、中国四国農政局による現地視察や選考委員会を経て、最優秀賞と優秀賞が決定します(令和5年度は最優秀賞2件、優秀賞7件)。

問い合わせ先:本庁舎農村整備課(45番窓口)
【電話】0857-30-8316
【FAX】0857-20-3043

問い合わせ先:気高町総合支所産業建設課
【電話】0857-30-8676
【FAX】0857-20-1067

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