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資料館だより(519号)

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鹿児島県中種子町

■種子島と黒錆砂
種子島の海岸では、白い砂(浜砂)に混ざって黒砂が見られます。この黒砂の正体は、「砂鉄(黒錆砂)」です。マグマが冷えて固まってできた磁鉄鉱という鉱石が風化して砂状になり、その表面が黒く錆びることによって黒錆砂となります。この黒錆砂が多く採れたことが、種子島の製鉄文化を栄えさせた起因であることはご存知の方も多いのではないかと思います。
しかし、種子島の砂浜ではなぜ黒錆砂が堆積しているのか疑問になります。種子島は、海底が盛り上がってできた島なので、砂岩や泥岩などの堆積岩で構成されています。よって火山性の岩石や鉱石はほぼ見られませんが、鉄浜海岸(西之表)には大昔の海底火山活動による磁鉄鉱が基盤にあり、海岸一帯が黒錆砂で覆われています。しかしここでまた疑問が出てきます。黒錆砂は鉄浜海岸以外にも磁鉄鉱が基盤ではない熊野海岸や西側の長浜など多くの海岸でも見られるのはなぜでしょうか。これについては、諸説ありますが、海底に堆積した黒錆砂が巻き上がって、潮で流され、長い年月をかけて堆積したのではないかと考えられています。
種子島と黒錆砂。この見慣れた何気ない風景は、太古の自然環境がおりなす奇跡が幾度となく重なってできたとても貴重なものなのです。
(歴史民俗資料館)

■お知らせ
令和5年4月号から連載しております生涯学習だより国史跡「立切遺跡」については、今月号は休載します。

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