5月号では、立切遺跡の落とし穴は3万5千年前に降下した種4.火山灰層の下から発見されたことを説明しました。今月号では、いよいよ立切遺跡の一番重要なポイントである「世界最古の落とし穴」について紹介します。
立切遺跡から発見された落とし穴は大津保畑地区から12基、今平・清水地区から12基の全部で24基(図1)になります。直径は平均2m、深さは平均1.2mであり、円筒形のものやフラスコ形(図2)のものがあります。穴は石製の「石斧」という斧状の道具で掘っていたとされています。もちろん機械なんてものはないので、すべて手作業です。全ての落とし穴を同時期に掘ったかについては不明ですが、ものすごい労力を要したことは確かです。
立切遺跡がある台地は現在、緩やかな丘陵となっていますが、後期旧石器時代当時は谷地形となっていることが発掘調査時の地形測量(図1の太線)で分かりました。図1で落とし穴の配置を見ると、太線(等高線)の間隔が広い緩やかな斜面(太線の間隔が狭いほど急斜面になる)に設置していることが分かります。また、当時の台地一帯は照葉樹林が広がっており、豊かな森林地帯であったことも明かとなっていることから、落とし穴は動物が谷を上り下りするためのケモノ道に設置されたのではないかと考えられています。
次回は、落とし穴とその暮らしについて紹介します。
※図は本紙16ページをご覧ください。
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