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資料館だより(520号)

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鹿児島県中種子町

■黒潮の恵み
20年ほど前、長浜海岸で幼稚園名が書かれたボールを拾い、海の漂着物のロマンに駆られ、そのルーツを調べたところ、長崎県五島列島からのものと判明しました。
種子島近海の海流を調べると、東シナ海を北上する黒潮はトカラ列島付近で大きく蛇行し、五島列島側へ分かれて対馬暖流となり、一部が反流して種子島の西海岸に打ち寄せます。
五島列島との歴史的つながりを見ると、明治20年頃五島から種子島への漁民移住記録があります。海流による縁でしょうか。方言※は、きだか(キダコ)、くさび(クサブ)、ふつ餅(フツ餅)、かしわ餅(カシワ餅)、こって牛(コッテン牛)、およー(オヨー)、あばよー(アッパヨー)などよく似ています。
※( )内は五島列島の方言
一方、黒潮本流の太平洋側では、鉄砲伝来のきっかけであるポルトガル船漂着(1543年)、乗組員救助で今も安城、立山、伊関校区と国際交流が続くアメリカ商船カシミヤ号遭難(1885年)、インギー鶏に由来するイギリス帆船ドラメルタン号漂着(1894年)の記録があります。こられの史実は、黒潮がもたらした種子島の歴史、文化遺産です。
種子島の人々は、海流黒潮がもたらす多様な物、事を享受し、島特有の文化を培ってきたのではないでしょうか。
(町文化財保護審議会 鎌田 秀一郎)

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