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資料館だより(528号)

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鹿児島県中種子町

■近くて遠い種子・屋久今昔
3万5千年前、立切遺跡から古代人が見た屋久島はどのような光景だったでしょう。屋久島から見えるロケット打ち上げが時空間を超えて狼煙(のろし)のように見えるのが何とも不思議です。
「洋上のアルプス」の絶景を、「地元では見られない、まさに灯台下暗しです。」と屋久島の人は言います。
昔、屋久島の山に魅せられて、「あれをのっぺらぼうの種子島にひっつけんばじゃ。」と海を渡った「大男の国引き」の民話や、民謡「ようかい」では、「おぜがととさまどけいきゃった あれは屋久の島鎌売りに」と唄われ、竹屋野の神楽には、「屋久の御嶽の鈴黄金」の囃子詞(ばやしことば)が見られます。
海の向こうにそびえる屋久島の山々が、子どもたちの夢と憧れの象徴としても歌われてきました。島内学校の校歌では、住吉小の「天にそびえる八重岳の千古動かぬその英姿」、星原小の「八重岳の雲あおぎつつ 高き希望の一筋に」、岩岡小の「希望は高い屋久岳の杉のますぐなよい子らが」、大川小の「雲また映ゆる八重岳の気高き姿」などがあります。
世界自然遺産登録30周年、今も残る山岳信仰の岳参りや夜ごもりの慣習も興味深いです。
熊毛小唄に、「杉の八重岳雲間に晴れて…朝日夕映え絵になる船は旗も大漁の馬毛帰り」と歌われた種子・屋久を取り巻く環境は、今大きく変わりつつあります。
(町文化財保護審議会 鎌田 秀一郎)

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