10月25日より新庁舎での供用が始まりました。新庁舎の完成は、地域の発展と効率的な行政サービス提供のための重要なステップです。そこで、新しい庁舎の設計士である、(株)みのだ設計代表取締役蓑田満康(みのだみつやす)氏、蓑田朋章(みのだともあき)氏に新庁舎に対する考えや、想いについてお話しを伺いました。
◆新庁舎設計にあたっての庁舎像をお伺いします。
▽蓑田朋章氏
「まちをつなぐ、人があつまる「にわ」のような庁舎」をコンセプトに、ほーらい館までの道を伊仙町の目抜き通りとして、10年・20年先、人が集まる場所になるような庁舎を目指しました。庁舎は8割くらいが執務空間なんですけど、できるだけ町民の方が遊びに来られる場所、くつろげる場所を作れるように心がけました。
そのひとつがX階段で、階段に必要な面積をぎゅっと縮めて町民の方が使えるスペースを増やすためにあのような形にしました。
執務室スペースでは、寸法のルールを決めて柱を配置することで少しずつ面積を生み出す工夫をし、町民の方が憩えるスペースの確保を心がけました。
◆限られた空間の中で、私たち職員が使うスペースと町民のみなさんがくつろげるスペースを考慮して設計いただいたということですね。また今回の設計のなかで「開放的で町民に親しまれる庁舎」というポイントがあるとお伺いしたのですが。
▽蓑田朋章氏
庁舎の中を歩いていただくと、ガラス越しに見える部分が多いことに気付かれると思うのですが、そこはあえて狙って設計したところです。職員の方も町民の方も歩きながら、動きながらいろんな方向に目線が抜けていくことを意識しています。
▽蓑田満康氏
歩きながらこちらが見えるというのは全体をとおして区切られていないということを意識しています。
◆(庁舎を見学している子どもがガラス越しに覗いて手を振っている様子をみて)まさしくこの様子ですね。また「町民の安心・安全を確保した庁舎」というところもご検討いただいているとお聞きしました。その点もお伺いしたいです。
▽蓑田朋章氏
今回の庁舎建設では、設計条件として建築基準法の1.5倍の耐震強度が求められました。その中で開放的なデザインにするため、外壁の柱を設置し、耐震強度を保つための役割を果たしながら、そのまま外観のデザインとしています。
デザインと耐震性をうまく表現できるものにしたいという想いからこの外壁の柱は生まれました。
▽蓑田満康氏
2期工事では、これから1階のフロアを県道側まで広げる工事が行われるんですけど、そこは災害時に町民の方が集まってこられるように想定しています。見通しがいい場所になるので、どこに誰がいるかが分かるということも考慮して設計しました。
◆ありがとうございます。最後に町民の方にぜひ見ていただきたい部分を教えてください。
▽蓑田朋章氏
町民の誇りというか庁舎がそういうものになってほしいなという願いがあります。ちょっとありきたりですけど最近は「シビックプライド(地域への誇りと愛着)」みたいな言葉をいうじゃないですか。そういうふうになってくれることが、設計者として一番の願いかなというところはあります。
◆この新庁舎をきっかけに町民の方に誇りを持ってもらい、町のシンボルになってほしいということでしょうか。
▽蓑田朋章氏
そのとおりです。
◆ありがとうございました。取材をしていく中で、お二方の人柄の良さと、伊仙町への想いを感じることができました。また、これから行われる2期工事終了後の新庁舎がさらに楽しみになるインタビューとなりました。新庁舎へお越しの際は、ぜひ上記のコンセプトやデザインにも注目してご覧ください。
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