■はじめに
町民のみなさまへ、令和6年度の町政運営に関わる基本方針を申し上げ、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。
昨年は、未だ影響が続く新型コロナウイルス感染症対策や、物価高騰に伴う様々な対応を中心に取り組み続けた1年となりました。
とりわけ、世界的な穀物需要の増加やエネルギー価格の上昇に加え、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響により化学肥料原料の国際価格が大幅に上昇し、肥料価格が急騰したことを受けて、本町の基幹産業である農業経営の影響を緩和すべく、肥料コスト上昇分の支援などを積極的に講じてまいりました。
そのなかでも、昨年は町制施行60周年と伊仙町出身の泉芳朗先生をリーダーとした奄美群島日本復帰70周年の節目の年であり、各種記念事業においては、行政だけでなく町内の子どもから高齢者まで、町民総参加で盛り上げていただきました。このことから地域と行政の新しい関係づくりができ、伊仙町のさらなる発展につながる年であるとも感じられました。
さて、令和6年度は「第5次伊仙町総合計画(10年間計画)」及び「第2期伊仙町まち・ひと・しごと創生総合戦略(5年計画)」の最終年度となっております。
町民総参加のまちづくりを進めていくうえで、伊仙町の将来の発展を展望し、長期的な視点に立った発展の方向と将来の目標を定めた計画策定に向けて、地域住民の方々と情報を共有し、集落座談会などで対話を重ねて広く町民のみなさまの意見を計画に盛り込んでまいります。
特に、少子高齢化により増え続ける社会保障費や公債費が高水準で推移することなど、極めて厳しい状況を踏まえ、さらに踏み込んだ歳入・歳出両面にわたる見直しや、新たな歳入確保の検討を行うとともに、「町民総参加のまちづくり」をスローガンに「人口増加と産業支援」「高齢者が安心して暮らし、子どもたちに誇れるまちづくり」「人材育成と企業支援」「透明性のある行政運営と地域の特色を生かした集落づくり」、「農福連携による町民総活躍のまち」「環境にやさしいまちづくり」に向けた各種施策に取り組む必要があります。
常に激変する社会情勢のなかではありますが、本町の基本理念として掲げる「誰1人取り残さない安心・安全なまちを目指す『町民総参加のまちづくり』」を追及してまいります。
このような町政運営に関する基本方針を踏まえて、令和6年度の主要施策を述べてまいります。
定住人口・交流人口の増加と産業支援については、本町出身者のUターンや団塊の世代の方々の活躍の場を作り出し、移住促進を見据えた施設整備、昨年に引き続き子育て支援・高齢者・単身者向けの住宅建設、山村留学の推進、犬田布岬や前里屋敷を含む阿権集落の景観をはじめとした町内の観光地を周遊するコースの開発など、エコツーリズムと分散型観光を推進するための町内観光施設の整備や観光資源の拡充に取り組みます。
続いて農業施策については、農業従事者の増加と新たな土地改良事業を進めつつ、作物生産の安定・単収向上を目的とする土づくりやさとうきびの増産支援強化、農業における障がい者の雇用の創出を目的とした農福連携の推進など、各種農業振興に取り組んでまいります。
高齢者や障がい者等の自立を支援し、誰もが安心して暮らせるまちづくりの実現に向け、各種専門資格の取得支援、介護従事者に対する待遇改善、地域サロンを含む介護予防教室の展開に向けて取り組んでまいります。
また、子どもたちが誇れるまちづくりを目指すため、子育てに関する祝い金の充実、給食サービス支援のさらなる拡充、離島甲子園などのスポーツ大会や島唄大会出場への助成、保育士の待遇改善と療育に関する教育機会の確保で保育サービスの向上に取り組みます。
他にも日常生活を支えるための多岐にわたる計画や各種事務事業を基礎としながら、人口増加施策を効果的に展開し、町民のみなさまの幸福度があがることを切に願い、さらなる町勢発展に向け、取り組んでまいります。
引き続き、町民の皆さまにおかれましては、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。
◇財政分野「財政健全化」
《施策1》
「町民総参加のまちづくり」をスローガンとした各種施策の実現を目指します。
◇防災分野「防災の強化」
《施策2》
災害に強いまちづくりを推進します。
◇地方創生分野「地方創生事業の推進」
《施策3》
「定住人口、交流人口及び関係人口の増加と産業支援」「町民総参加のまちづくり」を実現するため、地方創生事業を推進します。
◇情報発信分野「情報戦略の強化」
《施策4》
情報発信分野の強化と拡充を図ります。
◇ふるさと納税分野「返礼品の拡充と発信力強化」
《施策5》
発信力を強化し新たなファン獲得を図ります。
◇公共交通分野「地域公共交通の強化」
《施策6》
持続可能な公共交通体系の再構築に向け取り組みます。
◇生活環境・産業分野「環境整備」
《施策7》
畑地かんがい事業の推進及びダム管理に取り組みます。
《施策8》
農地や農業用施設(農道・水路など)の維持管理に努めます。
《施策9》
農地利用の最適化を目指します。
◇生活環境・産業分野「農業振興」
《施策10》
農業における障がい者の技術習得及び雇用の創出に取り組みます。
《施策11》
担い手農家を確保・育成し、農家戸数の向上に取り組みます。
《施策12》
新規就農者を支援・育成し、農業青年クラブ会員の確保に取り組みます。
《施策13》
有害鳥獣駆除及び対策に取り組みます。
《施策14》
漁業の総合的活性化に取り組みます。
《施策15》
担い手農家への農地の効率利用を目的とする農地中間管理事業を推進します。
《施策16》
さとうきび栽培面積の増加・単収向上による生産基盤の強化と所得向上に取り組みます。
《施策17》
土づくりによる生産環境の改善と保全に取り組み、作物生産の安定・単収向上を支援します。
《施策18》
優良雌牛保留事業を拡充します。
《施策19》
分娩事故の低減、飼養管理向上を支援します。
《施策20》
農業創出緊急支援事業を活用し、園芸品目の振興を図ります。
《施策21》
農林水産物輸送コスト支援事業を活用します。
《施策22》
特殊病害虫防除及び対策を推進し、園芸振興を図ります。
《施策23》
新規品目の開発及び有利販売品目を推進します。
《施策24》
国産コーヒーとしてのブランド確立及び産地化のため、生産技術の確立に努めます。
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