「ここは、魚にとって最高の海だよ。」
川を流れ、海に注がれる山の恵み。
浅瀬による、豊富な光と食物資源。
身質を良くする適度な潮の流れ。
魚がのびのびと成長できる環境の揃ったこの八代海を見ながら、
漁師は胸を張って言った。
「この海で獲れる魚は、美味いぞ。」
■出水産 黄金アジ
「大衆魚」の概念を覆す美味しさ
普段の買い物でよく目にする大衆魚のアジだが、出水産ともなれば、美味さ・価格共に別格だ。
出水産の黄金アジはその多くが東京へ送られており、豊洲市場で争奪戦となっている。
その結果取引価格も上昇し、現在では、出水産のアジ=高級魚というイメージが浸透している。
◇北さつま漁業協同組合
出水支所長 今井辰彦さん
『出水のアジと課題』
皆さんは、出水でどのような海産物が獲れるかご存知でしょうか。夏はタコ、冬になるとヒラメ、年間をとおしてタイ・アジが獲れます。八代海は、山から注がれるミネラルのおかげで栄養豊富な漁場と言われており、水揚げされる出水産は、東京の豊洲市場で高い評価をいただいています。その中でも特に人気なのが『アジ』です。黄金色に輝くその見た目から『出水の黄金アジ』と呼ばれ、東京の高級寿司屋や料亭で提供されています。東京で地位を確立した出水産ですが、課題を抱えています。漁師のなり手不足です。出水支所管内の漁師は直近10年で約40人減り、現在は93名です。漁を生業とする正組合員の半数以上が70歳を超えており、一番若い漁師で40代です。東京などで黄金アジ等の人気が続く一方、漁師と漁獲量が減り続けているのが今の出水産の実情です。
■こだわりでつなぐ『出水の黄金アジ』
◇漁師 蒔平俊実さん
出水のアジ漁師は全員“一本釣り”
漁師になって50年になるが、今も昔もアジを釣る時は“一本釣り”。竿ではなく手で釣る理由は、僅かな当たりの動きでも感じとることができるから。網で獲れば傷がついてしまうので、魚のことを考えるとやはり一本釣りが一番。昔から受け継がれる魚への思いが、今の高い評価へ繋がっている気がするよ。
◇仲買人(有) 柴田水産 柴田雄城さん
『魚ファースト』
状態の良い魚を競り落とし、東京の豊洲市場へ送るのが私の仕事です。そんな私のこだわりは、会社理念でもある『魚ファースト』です。利益だけではなく、魚のことを第一に考えているため、鮮度を保つためにスピードを意識するのはもちろん、梱包にしても並べ方や氷の配置など細かな箇所にこだわっています。獲れたてのような鮮度を次の人に繋ぐ。漁師さんが獲ってきた大切な魚と本気で向き合うのは当然です。
◇豊洲市場 株式会社大力商店 原田勝さん
職人を魅了する出水のアジ
大力商店は、市場が日本橋にあった明治15年に創業し私で5代目になります。私たちは全国から一級の魚が集まる豊洲市場で魚を仕入れ、銀座や赤坂の寿司屋に卸しています。『出水の黄金アジ』は、全国各地にあるブランドアジの中でも特に身質・脂・旨味のバランスが良く、加えて品があります。「出水のアジでないとダメだ」と強いこだわりを持っている職人も多くいます。出水のアジは、その美味しさで職人や食通を魅了しています。
銀座久兵衛・根津松本など日本屈指の名店で『出水の黄金アジ』が提供されています。
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