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自治体の皆さまへ

それでも、前へ。(1)

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鹿児島県 出水市

3年前。
6人は、これから始まる高校生活に、
期待で胸を躍らせていた。
体育祭や文化祭。修学旅行に部活動。
級友たちと過ごす、
まさに『青春』と呼ぶに相応しい3年間が
いよいよ始まる。

そんな期待を、感染症が無残にも壊していく。
「マスク着用」「緊急事態宣言」「休校」
「外出自粛」「黙食」「延期・中止」。
当たり前にくると思っていた輝かしい高校生活が、
凄い早さで形を変えていく。

誰も悪くない。どうしようもない。
心の中ではそう思っていても、
制限された生活は、耐え難かった。

落ち込んでいる暇はない。
一生に一度しか訪れないこの瞬間は、
もう戻ってこない。
前へ進もう。
自分たちの青春を、
そして、未来への一歩を決める大切な時間を
決して無駄にはしない。

コロナと戦い、コロナと歩んだ3年間。

4月から6人は、
特別な3年間の中で見つけた、
自分の道を走り始める。

■新型コロナ禍の3年間を乗り越え次のステージへ

◇自分の気持ちに素直に過ごした3年間
羽月 琴乃-はつき ことの-[出水高校卒]
夢を探しに出水高校へ。しかし、入学と同時にリモート授業でクラスメイトと過ごす時間が少なく、うまくコミュニケーションをとることができない日々。そんなコロナ禍で開催された文化祭や体育祭では、開催直前まで企画に悩む学年だったが「いつも大成功で楽しかった」とその瞬間に全力を尽くしてきた羽月さんは達成感に満ち溢れた表情を見せる。高校から始めた弓道では、目の前の試合や目標に向かってひたすらに練習に励み、3年生の地区大会で見事優勝。つらい時期もあったがこれまでの努力が実った瞬間を嬉しそうに話していた。4月からは大学へ進学し、高校生活で見つけたシステムエンジニアという夢を追いかける。様々な人と出会い、多くの経験を積み、「今自分にできること、自分がやりたいことに精一杯挑戦し、乗り越えていく」と強い志で前を向く。

◇感謝の気持ちを胸に憧れの場所へ
井手上 海璃-いでうえ かいり-[出水養護学校卒]
感染症の脅威もあって、自然と一人で過ごす時間が増えた。その分趣味の読書に充てる時間も増えた。高校1 年の時読んだ京セラの創業者である稲盛和夫さん著『京セラフィロソフィ』。読み終えた時、心の奥に熱いものを感じた。
感染流行により学校内でも校舎間の不要な行き来が制限され、友人と会うことができなかった。その代わり、教室内で過ごす時間が増え、先生との距離がグッと縮まった。そのおかげで進路の不安や悩みを気軽に相談する関係が出来上がった。「先生、京セラで仕事がしたいです」。ぶつけた想いに先生は全力で応えてくれた。
学校、恩師、友人、家族。3年間を支えてくれた全てに感謝し、4月から憧れの場所へ向かう井手上さん。「敬天愛人。その気持ちを胸に、ものづくりを通して人の役に立てるよう頑張ります」

◇最初で最後の校歌を未来へ
京田優月-きょうだゆづき-[野田女子高校卒]
小学6年のときに掲げた夢は保育士。高校生活では「造形検定が辛くて…」と保育技術検定での苦い思い出を笑って話す京田さんだが、4種目の検定すべて1級合格しているから驚きだ。幼稚園・保育園実習はコロナ禍で実施できなかったが、年4回行われた子育て支援活動では、こどもの発達状況に応じて保育プログラムを考え、数少ない実践活動をクラス全員で協力し取り組むことで保育技術を高めることができたと話す。休校や昼食時の黙食など制限の多い高校生活だったが、学年が上がるにつれクラスのまとまりも強くなり、クラスマッチや文化祭などすべての行事が素敵な思い出に。特に、「卒業式で歌った最初で最後の校歌は忘れられない」と感動を口にする。保育士になるという夢を叶えるため4月からは短大へ進学する。校歌に乗せた想いを未来のこどもたちへ伝えて欲しい。

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