■「ある高齢の患者さんとの会話より」栗生診療所医師 川崎研一
おはよう。
「おはようございます」
眠そうだね。
「薬がなくて眠れないの。それに便秘で苦しい。足腰が痛い。お薬ください」
忙しいの?
「何もすることがない」
食欲は?
「薬を飲む前に仕方なく食べている。でもおいしくない」
一日何しているの?
「テレビ見ている」
面白い?
「韓国ドラマも見飽きたし、知らない間に寝ている」
からだ動かすことないの?
「足腰痛いから畑もやめた。墓参りはしている」
薬に頼りすぎるのはよくないよ。
「お薬がないと生きていられない」
朝のテレビ体操するといいよ。
「足腰が痛くて動けない」
座っていても出来るよ。
「めんどくさい」
時間があるのだから、家の周りを散歩しようよ。ぶらぶら歩いて風景や草花を眺めたり、人に会ったら挨拶や声掛けをしたり。
「…」
歩くのがしんどかったら、ベランダや庭に出て日向ぼっこしてみたらどう?
「…」
体操や散歩をして、朝ごはんを食べるのが体にいいらしいよ。薬やめられるかもよ。
「でも、やっぱりお薬ください」
※この会話のやりとりは、実例を元にしたフィクションです。
この方は、生活が不活発になり、眠れなくなって困っているようです。まさにフレイルの状態に陥っていることが分かります。このままでは、ますます体は衰え、睡眠薬の影響でふらつき、転倒・骨折をして、寝たきりになってしまう恐れがあります。それを回避するために、何かキッカケが必要なようです。
身近に、「何だか元気がないな」「最近、外で姿を見かけないな」と思う方はいませんか?
気になる高齢者がいらっしゃれば、声をかけてみてください。そして、いつでも健康長寿課までご相談ください。一緒にキッカケを見つけましょう。
このコーナーでは、町内の医療機関などから、健康で長生きするための「耳より情報」をお届けします。
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