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町誌編さん室の島のむんがたり

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鹿児島県徳之島町

■奄美群島日本復帰以前の焼酎醸造に使われた器具
郷土資料館の収蔵品の一つに、「酒作りの銅製品」として展示している器具があります。平成23年1月に、井之川集落の山中にある洞窟で発見され、町文化財保護審議委員の重久勇氏(故人)が、地域住民に聞き取り調査などをしたものの詳細は不明で、米軍統治下に置かれた戦後間もないころの密造酒作りに使用したのではないかと推測していました。
長らくそのままの状態で展示し、使用方法等は不明のままでしたが、今年1月にその謎が判明しました。それは、鹿児島県文化財課による焼酎作りに関する歴史や文化の島内調査でのこと。本館へ調査員が訪れた際に「島内の酒造会社を回ったが、新しい醸造器具ばかりで、昔ながらの蒸留酒作りを知ることができるような器具は残っていなかった」と、とても残念そうな様子。こちらとしても、期待に応えられるような品はないだろうと思いながら、上記の銅製品を見てもらいました。
すると、調査員の一人で鹿児島大学の鮫島吉廣客員教授は、「この器具を見るのは、これで2例目だ」と、とても感激した様子。鮫島客員教授は、同大学の焼酎・発酵学教育研究センターの教授を務めていた方で、この分野の第一人者。そんなに珍しいものかと、こちらが驚かされました。
詳しく聞いたところ、初見は、宮崎市大島町(現波島地区)で使われいたものとのこと。同町は、広報徳之島2022年12月号「島のむん語り」で、奄美群島日本復帰の第一声を上げた場所として紹介されています。奄美出身者が多く住み、徳之島とのつながりも深いところであることから、似た器具が使われていたしても不思議ではありません。
しかも、奄美群島日本復帰70周年を向かえる年に、これまでの謎が判明したことは、何らかの縁を感じずにはいられません。今回頂いた資料を基に蒸留器の使用方法をパネルにして解説し、改めて「酒作りの銅製品」を展示したいと思います。
郷土資料館長 遠藤 智

問合せ:郷土資料館
【電話】0997-82-2908

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