■ハマオリあれこれ
かつて、島の三大遊興日といえば、「シキュマ」「十五夜」そして「ハマオリ」です。今回は、広報とくのしま8月号に掲載するため、時期的に近い「ハマオリ」を紹介したいと思います。
徳之島のハマオリは、集落によっては、「はまくだり」や「はまもり」などと呼ばれたりします。ハマオリは、祖先の霊を迎えて慰める意味合いが強いです。ハマオリの日の前に仮設小屋(ヤドリ)を建て、ヤドリの隅に十センチほどの小石でコの字状のカマと呼ばれるものを作り、その上にカッシリと藁で作った輪に十文字の管を組み合わせたものをのせます。当日は、親族集団ごとにごちそうを持って集まり、前年のハマオリは以降の新生児の額を潮でぬらし、海岸の白砂を踏ませるミィーバマフマシがおこなわれています。ハマオリが終わると、その夜、井之川集落では夏目踊りが夜を徹して踊られ、亀徳集落ではネンケという水のかけ合いが行われます。
かつては、各集落で、旧盆後にくる丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)の3日間にわたって行われていました。現在では、井之川集落以外では行われなくなり、平成11年から新暦8月の盆が終わった最初の土曜日に行われるようになりました。
沖縄や他の奄美諸島の浜下りは、旧暦3月3日(新暦だと3月下旬から4月上旬)に、健康祈願のため潮に手足を浸して清める行事です。ごちそうを詰めた重箱を持って浜辺へ行き、ご先祖に供えた後、浜辺へ下りて重箱のごちそうを食べながら潮干狩りなどをして、過ごす地域が多いです。また、沖縄の集落の中には、海難事故などで亡くなった人の霊を弔う意味合いをもつこともあります。沖縄のハマオリの由来の一つには、年頃の娘が青年に化けたアカマターの子どもを身ごもったため、砂浜に下りて白い砂を踏んで身を清めたという昔話があります。与論島では、はじめてハマオリを迎える男の子にはカゴを背負わせ、女の子にはザルを持たせたり、ぞうりをはかせるようです。
同じ「ハマオリ」という名前でも、行事の意味や時期が大きく異なるのは興味深いですね。
(郷土資料館 大屋匡史)
問合せ:郷土資料館
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