■ハレー船はどこから?
今回は、冬場ですが、夏の徳之島や奄美の島々で行われるハレー船や船漕ぎ競争についてまとめていきたいと思います。サバニと呼ばれる船に、鉦(かね)を打つ役、櫂(かい)を漕ぐ役、舵(かじ)取り役で構成したメンバーが乗り、その速さを競う「ハレー船」や「船漕ぎ競争」という名前で競争が行われます。徳之島では、現在、8月のどんどん祭りのイベントの1つとして行われますが、かつて亀津や山では、旧暦5月5日(新暦では6月上旬~下旬)に行われていました。
沖縄では船漕ぎ競争のことを「ハーリー」や「ハーレー」と呼び、各地で行われます。新暦5月3日~5日に行われる那覇ハーリーと旧暦5月4日に糸満(いとまん)市で行われる糸満ハーレーが有名です。特に、糸満ハーレーは、航海安全と豊漁祈願行事であるとともに、梅雨明けを告げる風物詩となっています。ハーリーは、今から300年以上前の琉球王国から存在し、中国南部から伝来したようです。一方で、沖縄島北部の国頭村、大宜味村、本部町、八重山諸島の西表島、波照間島ではハーリーとは起源が異なる船漕ぎが、豊作や豊漁、集落の無病息災を祈願する祭りの中で、行われているようです。
明治28年に出版された『徳之島事情』には、ハレー船に関する記述はありませんでした。そのため、明治30年以降にやってきたイトマンやクダカと呼ばれる沖縄から追い込み漁をするためにやってきた人々が伝えたのではないかと考えられます。また、亀津や山には、「大城」、「金城」、「玉城」という沖縄県でよく見られる名字を見ることがあります。いずれにしても、ハレー船は沖縄との関係を示す行事といえるでしょう。
郷土資料館 大屋匡史
問合せ:郷土資料館
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