今年の3月9日、NHKの人気番組「ブラタモリ」の最終回が放送されました。その最後の舞台に選ばれたのが、私達が住む指宿でした。テーマは「太古からの火山活動でできたカルデラの中にある指宿は、湖も山も温泉も火山によって作られたものであり、まさに〝火山銀座いぶすき〟だ」と言うものでした。そしてそんな指宿を〝わっぜぇー〟とタモリさんが絶賛しているのです。
市民の方々の中には番組をご覧になって、改(あらた)めてこの町の素晴らしさを教えられたという方も随分(ずいぶん)、おられたのではないでしょうか?全国放送でしたので、県外からの反響(はんきょう)も大きく、「遠くの友達から電話をもらった」という市民の声も沢山お聞きしました。番組で取り上げられた山川ヘルシーランド周辺について、電話での問い合わせも多く、今年の春の観光にも良い影響(えいきょう)があったのでは、と嬉(うれ)しく思っています。
■指宿わっぜぇーは他(ほか)にも
今回の放送では、他(ほか)に例を見ない指宿の珍しい地形や独特な特徴(とくちょう)が、多くの方々が訪れる理由のひとつなんだと教えてくれました。しかし実は指宿にはわっぜぇー町だと自慢できる分野は他(ほか)にもあります。
指宿温泉祭のハンヤ踊(おど)りで「オクラ、ソラマメ日本一」のかけ声のとおり、指宿の夏のオクラ、冬のソラマメをはじめとした豆類(まめるい)は、日本人の食卓に欠かせないものです。
例えばオクラが最盛期の8月頃、日本中のオクラの約60%以上が鹿児島県産です。そしてその約90%が指宿産のオクラです。この時期、国民の食べるオクラは2人に1人が指宿オクラを食べているのです。
一方で、冬の1月から2月にかけての最も寒い季節、全国の豆類(まめるい)で露地栽培(ろじさいばい)できる場所は、本土ではおそらく私達の町ぐらいではないでしょうか。この時期、日本中の店頭(てんとう)に並んでいるソラマメやスナップエンドウは、ほぼ指宿産なのです。〝農業王国鹿児島〟の中でも指宿は飛び抜けて日本一を持っている町です。やっぱり「指宿、わっぜぇー」ですよね。
南国指宿のもうひとつの顔は「観葉植物」です。全国の生産額第1位は愛知県なのですが、市町村別の生産面積、生産額は堂々の日本一なのです。
生産量の多いヤシ類は、市民にもすぐに手に入れられる身近な存在です。指宿にある大学の温泉熱利用の植物試験場など、研究機関のアドバイスもいただきながら南国らしさを発揮するなど、本市は、全国でも知る人ぞ知る観葉植物の大産地なのです。
とりわけ得意分野は大鉢(おおばち)生産で、私達が出かけた先の都会のビルのオフィスにさりげなく置いてあるアレカヤシやモンステラは、ひょっとすると指宿産かもしれませんね。多くの人に癒(いや)しを与えるこの産業でも指宿はなくてはならない産地です。観葉いぶすき、わっぜぇー。
最後に意外と知られていないのが、畜産(ちくさん)業の実力です。とりわけ肉用牛の生産額は、全国の千七百を超える市町村の中で、なんと指宿市は5位にランクしているのです。
全国のベスト5は、鹿児島県から3市、宮崎県から2市が占めています。指宿では肉用牛の生産額は、約120億円を超えていて、豚や鶏を加えれば約200億円近い金額を稼ぎ出しているのです。
今はエサも高く、農家は何かとご苦労が絶えない日々ですが、全国第5位はお見事です。指宿の肉用牛、わっぜぇー。
■産地を育てた人々に感謝
今回皆さんに紹介をした「指宿のわっぜぇー」分野は短期間で実現できた訳ではありません。農家の皆さんを始め、JAや民間事業者、研究機関、もちろん行政も含めて、それぞれの将来性を見い出して、みんなで支援を続けて来た結果です。
良い時もあれば悪い時もある。その苦しい時期にもあきらめずに努力を続けてこられた関係者に心から大きな声でエールを送りたいと思います。
何と言っても皆さんが「一番わっぜぇー人達」です。
(指宿市長 打越 あかし)
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