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ひおき歴史街道 No.31

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鹿児島県日置市

■牧野富太郎(まきのとみたろう)とヤッコソウ
日置市教育委員会社会教育課文化係

現在放送中の某朝のドラマの主人公は、大正期から昭和期にかけての植物学者牧野富太郎(まきのとみたろう)(1862〜1957)がモデルとなっています。精力的な植物採集により、多くの新種の植物に命名し、「日本植物分類学の父」と呼ばれています。
日置市で唯一、国の天然記念物に指定されている「ヤッコソウ発生地」(日置市東市来町湯田稲荷神社社殿裏)に生息するヤッコソウも牧野が新種として発表した植物の一つです。ヤッコソウは、明治39年(1906)に牧野の出身地の高知県で同県師範学校教諭の山本一が発見し、これを同42年に牧野が新種として発表しました。日本で初めて見つかった珍しい生態の植物で、その学名「Mitrastemon Yamamotoi Makino」は、牧野と山本の名を冠しています。
なお、これより早く、嘉永(かえい)4年(1851)、薩摩藩士 名越左源太(なごやさげんた)は、『南東雑話』の中でヤッコソウを奄美大島の植物として「名不詳」としながらも、図入りで紹介しています。また、明治15年には、熱帯植物の研究者田代安定も大隅田代(錦江町)で見つけたものを記録しています。
東市来のヤッコソウは、大正期、鹿児島県師範学校の生徒だった東市来湯之元出身の南郷兼文(大正5年卒)が、ヤッコソウが地元にもあることを教師に伝え、その群生地が明らかとなりました。教師の手続きを経て、東市来湯田稲荷神社社殿裏のヤッコソウは、大正11年(1922)3月8日、当時の史跡名勝天然記念物保存法により、天然記念物に指定されました。

◇国指定天然記念物「ヤッコソウ発生地」
(東市来町湯田)
ヤッコソウは、四国から九州・沖縄に分布する多年生植物。ラフレシア科に分類されていたが、近年ではヤッコソウ科とされる。10~11月にかけて3~7cmの雌雄同体(しゆうどうたい)の花茎(かけい)を地中から出し、蜜をだして虫などを誘い、受粉を促す。鱗片葉(りんぺんよう)の腕を広げたような姿が、江戸時代に大名行列の先導をした武家奉公人の「奴」(やっこ)を思わせることからその名がついた。葉緑素を持たないため、シイ属の樹木の根に寄生して養分を得ている。乳白色をしているが、薄紅色から次第に黒褐色になる。

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