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■アクション 高齢者の自殺予防について知ろう~3月は自殺対策強化月間です~
高齢者の自殺予防について鹿児島県精神保健福祉センターの春日井基文所長にうかがいました。
1.高齢者の自殺の現状と特徴
厚生労働省の令和4年人口動態統計をみると、鹿児島県の自殺者のうち60歳以上の高齢者が47%を占めています。高齢者の自殺の原因・動機として「健康問題」が最も多く、それは身体の病気に関する悩みだけではなく、うつ病などの精神科の病気も少なくありません。加えて、近親者の死別などの喪失体験もあります。また、高齢者の自殺は同居人がいる場合のほうが多いことに注意が必要です。その背景には老老介護や「家族に負担をかけている」「居場所がない」などの家庭問題、経済・生活問題があります。
2.高齢者のうつ病・うつ状態
高齢者の自殺予防に、うつ病の早期発見・早期治療はとても大切です。しかし、高齢者のうつ病は気づきにくいことが少なくありません。それは、気分の落ち込みよりも不安や焦燥感、身体的不調の訴えが目立ち、一見するとうつ病のように見えないことがあるからです。また、意欲や活動量が低下したり、物忘れを訴えることもあり、認知症と間違われることもあります。もし、いつもと違う様子や不眠が続く場合は、うつ病を疑って早めに相談機関や医療機関につなぐことが大切です。
3.自殺を防ぐために私たちができること
いつもと違う様子に気づいたら、勇気を出して声をかけて下さい。まずは相手の気持ちに寄り添ってじっくり聴くことがポイントです。また、「死にたい気持ちはありますか?」などと質問し、自殺の危険性を知ることが必要です。なお、死にたい気持ちを確認することで自殺の危険性が高まることはなく、むしろ誰にも話せないほうが危険です。もし「死にたい」と打ち明けられたら、感情的になって叱ったり、安易に励ましたりせず、死にたいほどつらい状況に耐えてきたことを労い、打ち明けてくれたことに感謝を伝えて下さい。そのとき、「秘密にして」と言われても約束せず、心配していること、解決する方法を一緒に考えたいことを伝え、家族や相談機関・医療機関の専門職と共に対応を考えましょう。各機関につないだ後も本人を温かく見守り、孤独感を軽減する働きかけが自殺予防に有効です。
最後になりますが、私たちひとりひとりが自殺を防ぐためにできることを行い、誰も自殺に追い込まれることのない社会が実現することを願っております。
▽春日井 基文(かすがい もとふみ)先生
[プロフィール]
学歴:
平成13年鹿児島大学医学部卒業
平成19年鹿児島大学大学院医歯学総合研究科修了
資格・称号:
精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医・専門医指導医
鹿児島大学医学部臨床教授
職歴:
慈愛会谷山病院、県立姶良病院を経て鹿児島大学病院神経科精神科で勤務。
外来医長、病棟医長、医局長を務め、講師として臨床・教育・研究に従事。
令和4年4月から鹿児島県精神保健福祉センター所長。
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