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ひおき歴史街道 No.35

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鹿児島県日置市

■日置市指定有形民俗文化財「石敢當(せっかんとう)」
日置市東市来町長里杉之迫自治会の国道3号線と宇都筋が交わる三叉路に「石敢當」と刻まれた石碑があります。江戸中期の安永3年(1774)に杉之迫の人々により建てられたもので、市内では最古級の石敢當です。高さも164センチで、近世期のものでは全国でも比較的大きなものです。中央に「右ゆのもととをり」と刻まれており、道標(案内板)を兼ねているのも珍しいとされます。
石敢當(石敢当)は、古代中国発祥の魔除けの風習で、丁字路や三叉路、辻などに建てられます。「敢當」の語は、「敢えて当たる=当たる所敵なし」の意味とされ、硬い石の力強さが、道路のつき当たりなどに滞る邪気を払い、屋敷などへ侵入するのを防ぐと信じられていたと考えられています。
沖縄県や鹿児島県・宮崎県で多く見られ、南九州へは近世の初め頃に伝わったと考えられています。日本の道祖神信仰や石神信仰などとも習合し、全国に波及しました。現代でも新たに建てられることもあり、北海道から沖縄まで広く分布しています。「石散當」・「石敢堂」・「石敢塔」・「石敢燈(灯)」などと刻まれたものもあり、その石造物の形態もさまざまです。

◇日置市指定有形民俗文化財「石敢當(せっかんとう)」
(日置市東市来町長里杉之迫)
溶結凝灰岩製(ようけつぎょうかいがんせい)で方形石柱型(ほうけいせきちゅうがた)の石敢當。高さ164cm、上幅30cm・下幅35cm、厚さは下部22cm、上端13cm。中央に「石敢當右ゆのもととをり(湯之元通り)」、右側に「安永三甲午歳十一月吉日」、左側に「杉之迫郷中」の刻銘(こくめい)がある。本来は現在地の国道3号線を挟んだ反対側にあった。昭和60年(1985)、旧東市来町指定。

参考図書・史料:
鹿児島県ホームページ〉鹿児島県歴史・美術センター黎明館〉黎明館おうちミュージアム〉かごしま厄除けワールド1「地域を魔物から守れ!」の巻(https://www.pref.kagoshima.jp/ab24/yakuyokeworld.html)、『東市来町誌』(旧東市来町)、『田の神・石橋・石敢当』・『東市来町郷土誌』(旧東市来町教育委員会)、森田浩司氏「鹿児島県山川における石敢當の実態調査」(大阪教育大学附属高等学校池田校舎『研究紀要』41)、蒋明超氏「中国北方と南方における石敢當の比較研究―山東省と福建省を例に―」(神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター『非文字資料研究』18)・「文字資料から石造物へと変化した「石敢當」」(同センター『非文字資料研究に飛び立つ―2018年度海外招聘・派遣事業報告集』4)

日置市教育委員会社会教育課文化係

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