文字サイズ
自治体の皆さまへ

深発見 さつませんだい 歴史文化遺産

11/24

鹿児島県 薩摩川内市

薩摩川内には長い歴史の中で起きた物語、育まれた文化が数多くあります。
このコーナーでは、数ある薩摩川内の歴史・文化の中から、とっておきのトピックスをご紹介します。

■第拾肆回 藺牟田池と共に生きる
湖面を漂うレア島、貴重な生態系と現代に継承される執念のプロジェクト。そして、岩が語る夫婦愛伝説を紹介します。

◇火山噴火で生まれた火口湖
藺牟田池は、直径約1キロメートル、周囲約3・3キロメートルあり、約50万年から約35万年前に活動した「藺牟田火山」の火口湖といわれています。

◇貴重な自然環境と生態系
池の西方と北方岸の一帯には、ヨシ、アンペライなどの挺水(ていすい)植物が群生し、これらの植物が枯れると湖底に堆積し、長い年月で泥炭(でいたん)層になります。
この泥炭層の一部が湖底から離れ、水面に浮きます。これが「浮島(うきしま)」と呼ばれ、その数は約300に達するといわれています。浮島は寒冷地方ではよく見られますが、温暖な地域ではとても珍しく、大正10年(1921年)に「藺牟田池の泥炭形成植物群落」として、国の天然記念物に指定されました。
また、湿地帯には平成6年(1994年)、国内希少野生動植物に指定されたベッコウトンボが生息しています。
ベッコウトンボの羽化は、3月下旬頃から始まります。
平成17年(2005年)には、ラムサール条約登録湿地になりました。

◇先人の偉業~執念の掘削
江戸時代、薩摩藩では水田稲作のための水の確保が最重要課題で、人工的な溜池を築くなどの土木工事が各地で行われました。
藺牟田池の豊富な水を活用するため、寛保(かんぽう)元年(1741年)、藺牟田郷領主は、水田に水を引く工事を命じました。
全長380メートルに及ぶ水路のうち140メートルがトンネル。この時代、重機があるわけではなく、すべて人力。15年の歳月をかけ、宝暦4年(1754年)、水路は完成しました。その後、約30ヘクタールの水田開墾も行われ、今も水路とともに利用されています。
池の北東部に水門があり、傍らには水門開通後、寛政(かんせい)12年(1800年)、水門改修工事の際の水神供養碑が残り、当時の関係者の名前が碑に彫られています。

◇今も語り継がれる竜石伝説
その昔、藺牟田池には竜の夫婦が暮らしていました。別の女竜のもとへ行った夫を連れ戻そうと山を登った女竜は里人に姿を見られたため、自ら岩に姿を変えました。
妻が気がかりになった男竜は岩になってしまった女竜に反省し謝り続けた伝説が残っています。

文責・問合せ:社会教育課文化財G(中央公民館内)
【電話】22-7251

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU