薩摩川内には長い歴史の中で起きた物語、育まれた文化が数多くあります。
このコーナーでは、数ある薩摩川内の歴史・文化の中から、とっておきのトピックスをご紹介します。
参考文献:『川内の田の神』
■第拾玖(じゅうく)回 傍らでそっと微笑む守り神 田(た)の神(かん)さぁ
田んぼの脇や公園、公民館など、私たちの身近な場所に、何ともユーモラスな表情で微笑む「田の神さぁ」。
田んぼを守り、豊穣や子孫繁栄をもたらす神として大切に祀まつられています。
田の神信仰は全国的に見られますが、石像など偶像化しているのは、鹿児島県と宮崎県の一部(江戸時代の旧薩摩藩領)のみです。
本市でも数多くの田の神さぁが造られ、確認されているものだけでも400体程存在すると思われます。
そんな中から、特徴的な「推し田の神さぁ」を紙面の限りご紹介します。
→令和4年6月号通常版の広報薩摩川内で田の神さぁを掲載していますので、ご参照ください。
○踊る田の神
「田の神戻し」
田の神さぁのお引っ越しを神の化身が行う。
・祁答院地域で毎年4月10日実施
○自然石文字彫(しぜんせきもじぼり)
・高江町宝満神社付近
・天明(てんめい)7年(1787)
・「御田神」の銘あり
○単体浮彫(たんたいうきぼり)(線刻(せんこく))
・楠元町楠元下公民館付近
・蔓延(まんえん)元年(1860)
・高さ約2メートル
・里町里
・明治31年(1898)
・上甑町中甑にもほぼ同じものあり
○単体丸彫(たんたいまるぼり)
・樋脇町塔之原祢地山
・寛政(かんせい)2年(1790)
・入来町副田下手
・大正15年(1926)
・女性型
・東郷町鳥丸 田の神ロード
・平成10年(1998)
○双体浮彫(そうたいうきぼり)
本市やいちき串木野市に多く見られ、「アベック田の神」とも呼ばれます。
・陽成町宮小平 宮田橋付近
・天保(てんぽう)12年(1841)
・宮崎町宮崎 春日神社内
※春日神社には工事による移設や家庭にあった「持ち回り田の神」など12体が持ち寄られています。
○双体丸彫(そうたいまるぼり)
・網津町井上開聞神社付近
・天保11年(1840)
○磨崖型双体浮彫(まがいがたそうたいうきぼり)
・寄田町山之口
・年代不明
※磨崖型の田の神は県内でも数少なく、大変珍しいタイプです。
文責・問合せ:社会教育課文化財G(中央公民館内)
【電話】22-7251
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