山田博(やまだひろし)さん
大切に使っていたおもちゃや、これまで受け継がれてきたおもちゃが壊れてしまい、悲しい思いをした経験はありませんか。
本市には、「おもちゃ病院」というおもちゃの修理活動をしている団体があります。今回は、その院長を務める方の思いに寄り添います。
■おもちゃの病院
壊れたおもちゃの修理を無料で行う活動をする「おもちゃ病院せんだい」の院長を務める山田さん。おもちゃ病院は県内には本市を含め、15地域にあり、シニア世代が生きがいを持って参加できる新しい形のボランティア活動として、(一社)日本おもちゃ病院協会が行っています。
「長い人生で培った知識や技能を生かし、おもちゃの修理を行うことで、『生きがいづくり』、『認知症予防』、『閉じこもり予防』を目的に活動を始めた」と言います。
その中で、「子どもや親に物の大切さを知ってもらう」、「世代間交流を図る」、「おもちゃの仕組みなどを説明し、科学に対する関心を高める」、「地域住民のボランティアに関する理解と関心を深め、社会貢献活動を行う」ということも活動の目的としているそうです。
おもちゃ病院せんだいは平成25年4月から活動を開始し、現在12年目となります。
新型コロナウイルス感染症が流行する前は、多いときで年に200件程の依頼があったそうです。現在は60~80代の11人で活動しており、一緒に活動してくださる方を随時募集しているとのことです。
■趣味の延長線
「もともと物づくりが好きで、『好き、やる気、根気、元気、心意気、前向き』の6つの『き』をモットーに、日頃からおもちゃの修理や趣味の日曜大工を行っている」と言います。現在の活動を始めたきっかけは、社会福祉協議会の募集を知り、申し込みをしたことだったそうです。その後、受付方法や工具の使い方などを学ぶ講習に半年間参加したといいます。
「活動をする中で、一番うれしいと感じるのは子どもたちの笑顔。修理する場面を真剣にのぞき込み、修理できたおもちゃで遊ぶところを見ることにやりがいを感じる」と言います。時間が経つにつれ、おもちゃの種類が増え、使われる部品が細かくなっているので、修理も難しくなってきていると教えてくれました。
■成長を実感
預かったおもちゃを整理していると、8年前に依頼を受けてずっと預かっているおもちゃがあったそうです。
「そのおもちゃは当時、修理不可だったもので、改めて修理にチャレンジしてみると、今回治すことができた。経験値が上がり、修理技術が上がってきたと実感している」と裏話を教えてくれました。
■大切にする心
「おもちゃは使い方によってはすぐ壊れてしまうので、対象年齢を確認してほしい。親子3世代で長く遊んでもらうために、これからも活動を通して『ものを大切にする心』を伝えていきたい」と話します。
おもちゃ病院は月に2回開催され、子どもたちの大切な宝物を守っています。
◇「人のとなりに」とは…
文字通り、その人の隣にいて、思いに寄り添うことや人柄を表す言葉「人となり」をイメージしたコーナーで、人物や活動の紹介だけでなく、その人の思いにスポットを当てることを目的としています。
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