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市長独言 No.77…ザッショウの披露

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鹿児島県西之表市

「ザッショウの披露を致します」
総会など会議が終わって懇親会に入り、主催者あいさつや乾杯が終わると、司会者がメモを片手に、○○様よりビール1ケース、〇×様より焼酎2本……などと紹介するのが、種子島では恒例になっています。
「ザッショウ」とは何だろうと辞書を引くと、「雑掌」「雑餉」と書き、古代、中世の時代に、種々の雑事を扱った役人のこと。さらには、もてなしのための酒や食物とされています。
古くからある言葉ですが、すでに江戸時代にもなじみが薄くなりかけていたらしく、種子島家の家老、羽生道潔(1768〜1845)が、23代島主種子島久道の命を受けて編集した「種子島家年中行事」(熊毛文学会発行)の中でふれています。
道潔は「此島にて進物の事を雑掌といふ事」の私見として、聞きなれず、古い言葉を知らないことから、田舎言葉のように思い、「雑掌」という言葉をつかう人がまれになっていると指摘したうえで、「台所にて色々さまざま食物の調味あんばひ等の事を世話やく事也是を以考れバ人の進物ハ種々世話をやきて調ふ事也雑の字クサグサとよミて色々さまざま打交るをいふ掌の字をツカサドルとよミて物事を取計ひ勤る事なり」と記しています。
「種子島の人」(柳田桃太郎著)によると、道潔の先祖羽生右京は、屋久島から種子島に渡り、安城村の邑主となった人物で、その九世孫である道潔が寛政5(1975)年に建てた住居が、現在の赤尾木城文化伝承館月窓亭です。道潔の孫、羽生道則(慎翁、1826〜1901)は、祖父の歩んだ花道、茶道を極め、池坊大日本総会頭職を務めました。
夏休みの観光客や帰省者たちが集う中、島の日常に古い言葉が生き続けていることを楽しく思います。

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