この秋、願成就で披露された郷土芸能を観覧しました。古田では、豊受神社に奉納するところを天候の関係で旧古田中学校体育館に場所を移していました。
会場には、集落単位のほか還暦の同窓会など思い思いの車座ができています。集落ごとの余興が一段落したころ、郷土芸能の各保存会による棒踊り、獅子舞の一団が登場し会場は一気に盛り上がりました。
最後の獅子舞では、特産のニガタケを素材にした手作りの横笛をはじめ、大太鼓、小太鼓、鉦かねの鳴り物に、天狗と獅子、道化の猿が熱演。天狗が獅子を茶化して獅子が怒り、激しい争いになります。
熱闘終了後、会場を引き揚げる獅子に頭をかんでもらうと縁起がいいとされ、抱いた子どもの頭を差し出す親子連れらが列を作りました。
西之表市史の校区史「古田校区」によると、古田の獅子舞は明治末期、シイタケ栽培で大分から来島した移住者が伝えました。1914(大正3)年以来、願成就の神楽として奉納され、無形民俗文化財として、1969(昭和44)年に市指定、2004年に県指定を受けています。
観覧の後、獅子舞にちなむ短歌を作りました。
願成就囃(はやし)の笛や鉦(かね)太鼓
獅子咆(ほ)え哮(たけ)り天狗跳び舞う
種子島は郷土芸能の宝庫です。伝統芸能を保存継承するためには、人材育成、発表の場、衣装や道具をそろえる資金が必要です。人口が減少する中で、地域の絆を結び伝統を守るために努力する皆さんに、心から敬意を表します。
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