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市長独言No.85…ツマベニチョウの眼

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鹿児島県西之表市

鉄砲館で4月、ツマベニチョウの羽化を観察しました。ギョボクの枝とその周辺にあるサナギが次々に殻を脱いでいました。幼虫が葉を食べるギョボクは、島内によく見られますが、鉄砲館の中庭に植えられたのは開館(1983年)から数年たったころのようです。
高速船が就航した1989(平成元)年の「市政の窓」には、ツマベニチョウの乱舞を夢見て飼育を手がける市民が「里親」を募る記事が載っています。水を入れた瓶に卵や幼虫のついたギョボクの枝をさす、室内飼育法を写真と図で紹介し、希望者に卵とギョボクの枝葉を配布したようです。
羽の先端のオレンジ色が鮮やかで、南国の青い空と赤い仏桑花(ハイビスカス)に似合い、シロチョウ科では最大。かつては種子島が生息の北限といわれていましたが、宮崎県の日南海岸で89年に越冬が確認され、今は宮崎が北限とされます。
西之表市は市制施行20周年の78(昭和53)年、市の蝶に指定。市制50周年記念で公募したシンボルマークには、ツマベニチョウがテッポウユリと共にデザイン化されています。他の市町村の蝶では、中種子町(同55年)のほか指宿市(平成18年)、沖縄県の竹富町、大宜味村も指定しています。
羽化した蝶は、体液を排尿のように絞り出して身を軽くした後、太陽光を浴び、風に揺られて全身を乾かしながら、褐色の眼がだんだん色を深くしていました。
本市の人口は市制施行のころは約3万4千人と、今の2倍以上でした。当時、祭りで赤穂四十七士に扮した女性たちが市街地を練り歩いたにぎわいが眼に焼きついています。島育ちのツマベニチョウも代々、島の移ろいをその眼に映してきたに違いありません。

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