■『アーレンシンドローム』をご存知ですか?
発達性ディスレクシアを抱える児は、文字に対する情報処理が定型発達児とは異なるために文字の習得に困難が表れます。decoding(文字音変換)の難しさが中核にあり、文字情報を定型発達児同様にインプットすることが難しいことをお伝えしました。
しかし、それ以外の理由で文字情報を的確に処理することが難しい場合があります。それは例えば、視知覚(見え方)に問題がある場合です。
視力には異常がないにもかかわらず光に対する感受性が特異なため、適切に光を受容することが難しく、そのことが読みの困難に繋がっている場合があります。特定の波長の光に対する過敏性があるため、周囲の世界の視知覚が歪んでしまい、文字や数字を読むことが困難になってしまっていることがあるのです。
こうした症状は、発見者のヘレン・アーレン(カリフォルニア州の学校心理士)にちなみ、アーレンシンドロームと呼ばれています。
アーレンシンドロームを抱えている児は、光に対する過敏を抱えていると言えますが、このことは読み書き以外にも本人の体調に大きく影響し、片頭痛や吐き気などの自律神経症状を訴えることがある場合が少なくありません。天気の良い日の体育の授業でどうしても気分が悪くなってしまったり、片頭痛がひどくなったり吐き気を催してしまったりといったことが起こるようで、注意集中力にも大きく影響してしまいます。
こういった症状は、本人にとってストレスとなっている波長の光を遮断する色のレンズを装用することで改善することが多く、カラーレンズを装用してみて初めて自分の体調が光に対する感受性の影響をうけていたのだと分かる場合も多いです。このような理由から島内にもカラーグラスを装用している児童がいますが、そういったカラーグラスを装用しているととても目立つため通学途中で揶揄されてしまうこともあるようです。
もし、今後、そういった子を見かけた場合は、ひといちばい頑張って日常生活を送っている子だということをご理解いただき、温かく見守っていただけたら幸いです。
文責:種子島地区基幹相談支援センター 荒木潮彦
問合せ:種子島地区基幹相談支援センター
【電話】28-3633
<この記事についてアンケートにご協力ください。>