但馬家畜市場(兵庫県養父市)は雪の中でした。子牛たちは体重250キロ程度が多く、種子島に比べてかなり小柄に見えましたが、せりの価格を聞いて驚きました。
「60万円からお願いします。はいっ、60万円」
せり人の掛け声でスタートし、電光掲示板の価格が目まぐるしく上がり、100万円を超えても競り合いが続きます。見学中に見た最高額は140万円を超え、種子島に比べ数十万円も高い価格で推移しました。
低迷が続いている種子島の子牛価格の向上を念頭に、今年2月、「和牛の最高峰但馬牛」を誇る兵庫県養父市の但馬家畜市場や購買者(肥育農家)を訪ねた先進地視察研修のひとこまです。
わが熊毛地域の畜産業のうち肉用牛(和牛)生産の現状は、肥育から離れ、繁殖経営がほとんどになっています。種子島家畜市場で競り落とされた子牛たちは、海を渡って本土の肥育農家の牧場にいき、様々なブランド牛にも育てられます。島外からの購買者を確保するためには、他地域に負けない商品性の高い子牛生産や購買者の誘致活動が極めて重要です。
今回の視察は、出荷後の肥育状況や、食肉として製品に至る実態を確かめることにより、今後の島の畜産のあり方を探る目的です。事業主体は「西之表市畜産クラスター協議会」で、繁殖農家(市和牛振興会会員ら)と種子屋久農業協同組合畜産部、市農林水産課の職員ら総勢10人がメンバー。但馬家畜市場と地元の肥育農家「太田畜産」の牧場ほか、食肉加工などの関連会社「太田家」が大消費地・神戸市内に構える加工工場、精肉店、焼肉レストランを視察しました。
今年度から同社の協力で、ふるさと納税の返礼品として西之表生まれの「種子島和牛」がデビューしています。種子島生まれの牛たちの稼ぐ力を強化したいと思います。
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