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【人の風景】霧島に生きる Vol.185

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鹿児島県霧島市

■大好きなものに熱中するって最高にカッコいい

藏丸竜彦さん(37)
隼人町出身。南日本新聞オセモコでイラストエッセー「蔵出し噺ばなし」連載中。
神奈川県在住。

(著書紹介)
「数学ゴールデン」
著者:藏丸 竜彦
出版社:白泉社

青春の全てを数学にささげる高校生・小野田春一。数学オリンピック日本代表を目指す彼は、天才の領域に足を踏み入れられるのか―。バトル漫画を思わせる熱いシーンやせりふが見どころの漫画『数学ゴールデン』は、数学に興味がない人も読み入ってしまいます。
本書を手がけるのは、隼人町出身の藏丸竜彦さん(37)です。主人公が通うのは福岡県立加治森高校ですが、随所ににじみ出る鹿児島感。「福岡の高校をもじる度胸がなかったので、地元ならいいかなと。校舎の風景は母校を撮影して参考にしています。もし映像化が決まったらロケハンが来るかも」と藏丸さんは笑います。
藏丸さんが漫画を描き始めたのは、大学院進学試験に落ちた時。思い切って何かに挑戦してみようとペンを執ります。それまで特段絵の勉強をしていなかったものの、描いた作品は見事受賞。しかしそのままプロの漫画家というわけにはいかず、25歳の時に帰郷し鹿児島第一高校で数学の教師として教壇に立ちます。「教師をつらいと思ったことはなかった。向いているとも思っていたが、漫画を諦め切れない中途半端な自分がいた」と話す藏丸さんは、30歳になる時に教師を辞めることを決意します。

教壇を降りてすぐに上京し、次世代の漫画家を支援する事業・トキワ荘プロジェクトに参加。「トキワ荘では飛び抜けて年上だった。毎月活動報告を提出しないといけなくて、自分は期限を決めないとだらだらしてしまう性格だから、同じ夢を目指す人がいる所で漫画に没頭したかった」と振り返ります。そんな環境の下、他の作品との差別化も図れ、自身の経験も生かせる数学を題材に漫画を描き始めます。編集者から題材の変更を迫られても書き続けた作品が日の目を見たのは、上京してから4年が過ぎた頃でした。「賞を取るのと、雑誌に載るのは違う。商品なので、良くできました、では駄目で。なかなか掲載に至らなくても、数学で勝負したかった」
「何かに熱中する姿ってかっこいいと思う。この漫画を読んだら数学の勉強になるというより、数学をやってみたいとか、数学でなくても何か自分でも頑張ってみよう、と思わせられたら」
今年5月、『数学ゴールデン』は楽天Kobo(コボ)電子書籍Award(アワード)2023『世界に届けたい!一押しコミック』第2位に選ばれました。藏丸さんが描く数学熱が、世界を沸かせる日も近いかもしれません。

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