日々鍛錬を積み、技を磨いたアスリートたちの活躍が光った今大会。
目指すその頂には、金メダルが輝いています。
地元開催の国体・障スポで頂点を極めた地元の金メダリストに、今の思いなどを聞きました。
■馬術
成年女子ダービー優勝
村岡 のぞみさん(41)(滋賀県栗東(りっとう)市出身、牧園町在住)
▽ベストを尽くして初優勝
鹿児島県代表として今大会が6回目の国体出場。コロナの影響で延期になった時は、モチベーションを維持できるか不安でした。昨年のとちぎ国体に向けてトレーニングを開始した時点で既に1年以上の空白期間があり、自分だけでなく馬も競技に向けて気持ちの切り替えが必要でした。自分にできることは、その時のベストを尽くすこと。とちぎ国体の反省を踏まえ、準備を進めてきました。今回、地元・牧園で初優勝することができて本当にうれしいです。表彰台からは応援席の人たちの顔がよく見えたので、みんなの笑顔を見てほっとしました。特設会場の設営からお世話になった関係者だけでなく、応援や振る舞いなどで支えてくれた地元の人たちにとても感謝しています。今回の国体をきっかけに、たくさんの人に馬のかわいらしさや馬術というスポーツを知ってもらえて良かったです。
■銃剣道
成年男子優勝
榮 貴将さん(32)(天城町出身 国分在住、)
▽地元だからこそ絶対勝ちたかった
小学生の頃から剣道一筋でしたが、陸上自衛隊への入隊を機に銃剣道を始め、先輩方の背中を追いかけてきました。昨年に続き出場した今回の国体では、大将として臨みました。先鋒と中堅の2人の活躍に落ち着いていられましたが、2回戦では勝負の行方が大将戦にもつれ込むことに。応援に駆けつけてくれた多くの人たちや、国体の準備段階から支えてくれた人たちのためにも、絶対に勝ち上がりたいという一心で力を出し切り、大将としての重責を果たすことができてほっとしました。ちょうどこの日は妻と子どもが会場に来ていて、私の試合を初めて観戦。家に帰ると妻から久しぶりに「かっこよかったよ」と言われ、優勝への励みになりました。地元開催だったからこそ、家族や職場の上司・同僚など身近な人たちにも日頃の練習の成果を見てもらえたし、力をもらうことができました。
■陸上
肢体不自由者男子1部50メートル走優勝
元栄(もとえ)孝典さん(36)(国分出身、国分在住)
▽職場などの理解・支援に感謝
生後半年の頃、左脳の障害で右半身まひの診断を受け、医者からは「歩くことはできない」と言われたそうです。それでもリハビリを続けて歩けるようになりましたが、障害が理由でいじめに遭ったことも。中学生の時に通っていたフリースクールの先生から紹介され、牧之原特別支援学校の高等部に進学。1年生の時に障害者スポーツを観戦する機会があり、こんな世界があることを初めて知りました。その後、先生に「やってみないか」と背中を押され、初めて出場した大会で優勝。自分にも可能性があることに気づかされました。今回、地元開催ということで家族や友人、恩師、職場の人たちも応援に来てくれて、とても力になりました。50メートル走で大会新記録を出せたのは、応援してくれたみんなのおかげ。特に、障害者スポーツに理解がある、今の職場があってこそだと感謝しています。
■卓球
肢体不自由者男子2部区分4優勝
藤井 博さん(75)(大阪市出身 国分在住)
▽みんなで取った金メダル貨物列車の事故に遭い、10歳で左足を失いました。高校生の時、障害をからかわれて、入りたかった卓球部に入部できずに悔しい思いを抱えながら独りで練習を続けました。6年かかってようやく大会に出場できるレベルになりましたが、出場してもずっと1回戦負け。大会では敗者が審判をすることが多かったので、それが功を奏しました。上手な人のプレーを間近で観察することができたんです。20年かかりましたが大会で1位を取れるようになり、それからは楽しい卓球人生を歩んでいます。今大会には、膝関節炎の悪化で練習不足のまま臨みましたが、孫の声援やたくさんの人の支えが力になり、優勝できました。スタッフの皆さんや仲間の協力があってこそ取れた金メダル。お世話になった人たちへの恩を、これから後進育成で返していきたいです。
◆霧島市出身者や在住者などで3位以上の成績を収めた選手を紹介します
※詳細は本紙PDF版5ページをご覧ください。
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