■霧島山を守り、霧島山と生きる
国立公園は日本を代表する優れた自然の風景地を保護し、未来に引き継ぐ役割を担っています。私たちのまちにある霧島錦江湾国立公園でも、その自然を守る取り組みが行われています。
自然だけでなく土地が生み出す文化や歴史も含めて、「ジオパーク」としての活用も進められています。
▽豊かな自然の保護・保全、そして安全な利用の両立ができるそんな登山道整備を目指しています
自然公園財団 高千穂河原支部
「登山道はなぜ必要なのでしょうか」と問いかけるのは、(一財)自然公園財団高千穂河原支部の小野寺裕太さん(35)です。「植物が生えていた所を人が歩き、踏み固められることによって、植生が無くなり道ができます。そこに雨が降ると道部分に水が溜まる。人の歩みと雨が繰り返されるうちに土が削られ、道の崩壊が進みます。登山道を整備することは、人が歩きやすくなるだけでなく、自然を保護することにつながっています」と小野寺さんは熱を込めます。「登山道整備で重要なことは、地形や環境に合った整備をすることです。水の流れをどう作ればいいか、整備後はどう変化するのか、そういう視点を持って、自然になじむ登山道整備を心がけています」
登山道整備など自然保護の取り組みを知ってもらおうと、今年からトレイルメンテナンスデイというイベントを市観光協会と協力して行っています。普段歩いている登山道を自分たちの手で補修すると、愛着が湧き、登山道の見え方も変わります。
「今後もこの取り組みは続けていきますが、イベントでなくとも登山中にたら私たちに情報提供してもらえるとありがたいです」と小野寺さんはほほえみます。
▽「ジオ」とは大地や地球のこと。あなたの何気ない生活がジオパークにつながっています
霧島ジオパーク推進連絡協議会
ジオパークとは、大地や地球(ジオ)と人の関係を見つめ直す地域のこと。霧島ジオパークのエリアは霧島山を中心に、鹿児島・宮崎両県の7市町の人々が暮らす周辺まで含みます。霧島ジオパーク推進連絡協議会事務局の岩下江里さん(29)は「『ジオ』という言葉の意味が広すぎて、難しいものと感じている人も多いと思います。けれど、身近にあるものや普段の生活が、この土地だからこそ生まれたものだったりします。食べ物や何気なく目にする石碑、神社がジオにつながっているんですよ。それを知り、学ぶことで防災や教育、自然保護などに生かすことができる。このまちでの暮らしがもっと豊かになるはずです」と話します。
霧島ジオパーク推進連絡協議会はさまざまな団体とパートナーシップ協定を結び、活動を進めています。その中でツーリズムの推進に取り組むのが(一社)霧島コネクト。代表理事の笠島一郎さん(50)は「霧島山はとても魅力的な所。最近は外国からのお客さまも増えて、生きた火山の姿に驚いたとの声を聞きます。霧島ジオパークには多くの自治体が関わっているので、その垣根を超えて『霧島』全体の価値を高められるよう、つないでいくことが私の役割だと思っています」と力を込めます。
霧島らしさの根源の一つ「霧島山」。今回はその魅力に注目しましたが、この山は美しくもあり、恐ろしくもあります。火山であることも決して忘れずに、霧島山の麓で暮らす私たちにできることを考え、行動してみませんか。
[INTERVIEW]
登山道整備で気持ちも晴れやか
「トレイルメンテナンスデイ参加者」
小森博人さん
曽於市在住
山登りが好きで霧島山にもよく来ます。登山中に気になるのが荒れた登山道。その整備体験ができると友人に誘われ、参加しました。周辺の倒木などを使い、崩れた道や階段、水切りなどを手作業で補修しました。道が整って気持ちが良かったです。自然に負荷がかからないように整備していることも学べ、これからは登山道ができるだけ荒れないように歩きたいと思います。
[INTERVIEW]
霧島山に恩返しを
「霧島ボランティアレンジャー協議会」
木場隆治さん(写真後列中央)
牧園町在住
霧島ボランティアレンジャーはもうすぐ40年を迎えるボランティア団体。霧島山エリアの草刈りやごみ拾い、標識磨き、植物保全など、楽しみながら活動しています。山が好きな人の集まりで、霧島山に恩返しができればと続けてきました。活動しながら霧島山の四季や多種多様な植物・キノコなどを仲間たちと愛でています。霧島山は宝の山。一緒に守っていきませんか。
問合せ:霧島ボランティアレンジャー協議会
[上ノ園]【電話】090-6425—2933
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