■海江田豊光(かいえだとよみつ)『パリの屋根』
□明るい光と色彩を追いかけて
海江田豊光は1931年に高麗町で生まれ、太平洋戦争のさなかに鹿児島大学教育学部美術科へ進学しました。油彩画を学び、1951年に第一期生として同科を卒業すると、中学校教諭を経て1971年に渡仏。暗い色調の日本の油彩画に見慣れていた海江田の目に、ボナールやルノワールらの作品はとても魅力的に映りました。鮮やかな色彩は、南国出身の海江田の性分に合っていたのでしょう。フランス滞在は約20年におよび、暖色の赤や紫による色と光の研究に取り組みました。
エッフェル塔を望むパリの街並みを描いた本作は、渡仏から6年後の作品です。夕焼けに包まれたかのような鮮やかなピンク、オレンジ、紫の色が画面を覆いつくしています。夢のような色彩は、「絵は楽しく鑑賞するもの」「私の絵を見た人が明るく、ウキウキするような気分になってほしい」と語った海江田の真骨頂といえるでしょう。
※3月24日(日)まで開催する小企画展「COLORFUL 画家の愛した色彩」(本紙9面参照)で展示しています。
問合せ:市立美術館
【電話】224-3400【FAX】224-3409
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