いなべ市長 日沖 靖
▼安全安心のまちづくり
能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りします。また、被災された方々に改めてお見舞い申し上げます。
被災地への支援として、いなべ市からも多くの職員を派遣し、いなべ総合病院からも医師や看護師が、さらには、多くの市民が、ボランティアとして支援に加わっています。義援金での支援を含め、被災地を応援していただいています全ての皆さまに敬意と感謝を申し上げます。
さて、いなべ市でも南海トラフ地震が発生した場合、震度6強以上が想定されており、災害への備えが必要不可欠です。まずは、家屋の耐震化を促すとともに、ため池や橋梁(きょうりょう)、水道などの社会インフラの耐震化を進め、地震に強いまちづくりを図ります。
一方で、いなべ市は津波の心配はなく、伊勢湾岸地域が被災した場合に、災害の後方支援基地としての役割が期待されています。災害支援物資の中継や災害支援隊の駐留基地として使用可能な施設を整備し、広域防災の基盤整備に努めます。
▼いなべ市のブランド化
いなべ市の知名度を高め、訪れる人(交流人口)を増やし、移住や定住に誘うことが地域の活性化につながります。この地の見慣れた風景や平凡な日常の営みも、来訪者には魅力ある観光資源とも成り得ます。また、いなべ市を舞台に新たな事業や試みに挑戦しようとする人や企業を誘致し、活気に満ちたまちづくりを進めます。
また、有機農業を積極的に勧め、オーガニックビレッジ宣言を目指します。環境にやさしく安全な農産物はブランド化され、新たな価値を生み出します。供給体制が整えば学校給食にも取り入れ、オーガニック給食を目指します。
既に恒例となっています梅まつり、新そば祭り、ツアー・オブ・ジャパンなどのイベントや、フェアトレードタウン、SDGs未来都市、にぎわいの森、青川峡キャンピングパーク、グリーンクリエイティブいなべ推進事業に加え、宇賀渓の新キャンプ場「Nordisk Hygge Circles UGAKEI」、温水プール、リニューアルする阿下喜温泉、梅林公園のスノーピークキャンプ場を核として、いなべ市のさまざまな魅力を掘り起こし、ブランドに育てます。
▼広域連携の推進
いなべ市は平成22年に東員町と定住自立圏形成協定を結び、広域連携を進めています。今後、菰野町とも定住自立圏を形成して、ごみ焼却施設の統合など、お互いの行政課題を共有しながら、連携を深めます。
◆歳入予算と財政状況
▽安全で安心につながる投資的予算
令和6年度の一般会計予算は、昨年度より9億円多い249億円を計上しました。能登半島地震を契機に防災意識が高まるなか、国の緊急防災減災事業などを活用し、消防団の詰め所や備蓄倉庫の建設、道路や河川、橋梁、上下水道など、公共施設の整備に努め、市民の安全で安心につながる投資的予算としました。
▽堅調な市税収入
土地の評価価格の低下や企業などの設備投資の鈍化により、固定資産税は1億円の減少を見込みましたが、円安などにより企業業績が堅調なことから法人市民税の収入を7億円増加し、歳入予算と財政状況12億円を見込み、コロナ以前の水準への回復を想定しました。これにより、市税収入は令和5年度よりも6億円多く当初予算としては過去最高の市税収入94億円を見込みました。
また、税の収納率も98%と高い実績を誇り、健全な財政運営に努めます。
▽堅調な地方交付税
地方自治体の収入額と需要額の差額を財源不足分として国から交付される地方交付税は令和5年度よりも2億円少ない29億円を見込みました。前年度の企業からの法人市民税が増加したことにより、財源不足が減少するためです。
また、特別交付税は総務省の人材確保事業である、地域おこし協力隊、集落支援員、地域活性化起業人を積極的に招いていることから、前年度と同等の6億円を見込み、学校の学び舎事業や観光開発など、いなべ市のさまざまな事業の活性化に大きく貢献しています。
▽地方債と基金の減少
令和6年度末の全会計の地方債の残高は、昨年度末に比べ12億円減少して、345億円を見込んでいます。また、全会計の基金残高も24億円減少し、83億円を見込みました。
合併前後の下水道の大規模な整備や、保育園や学校、新庁舎の建設に多額の地方債を充当しましたが、償還が進み、地方債残高も減少が進みます。
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