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続・尾鷲の植物誌

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三重県尾鷲市

■アミシダ(ヒメシダ科)
先日、遠方の友人が久しぶりに尾鷲へやって来ました。
その彼と一緒に尾鷲近辺のいろいろな植物を見ながら、初めて入る小さな谷筋を詰めて行くとアミシダの群生地に出会いました。
アミシダは、他のシダと違って独特な形をしています。葉脈のようすが網目模様になっているところから「網羊歯(あみしだ)」の名前がつけられました。分布は紀伊半島南部と四国南部、九州、沖縄と限られていて、それぞれの県で絶滅危惧種に選定されています。
数億年の昔、地球上に原始陸上植物が出現し、その中からコケやシダが現れ、その後花を咲かせ種子をつける種子植物が進化してきました。その進化の過程は葉の葉脈にも見ることができます。
葉脈は水や栄養分の通り道となる大事な管ですが、シダ植物の多くは、葉脈が二又に分かれているだけで、サクラの葉のように網目状とはなっていません。網目の方が栄養分や水分を葉の隅々まで送ることができ優れています。アミシダは、原始的なシダの一種でありながら、網状の葉脈を長い時間をかけて獲得してきたのでしょうか。何とも不思議なシダです。
ちなみに友人は、中学時代に尾鷲でアミシダに初めて出会い、その姿に魅せられて植物分類学の研究者となり、活躍しています。

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