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【特集】桑名の美しい竹林をもう一度(1)

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三重県桑名市

~整備から製品化まで、持続可能なサイクルを~

今、全国で課題になっている「放置竹林」。
他の樹木の成長を妨げる、土砂崩れが起きやすい、イノシシなどのすみかとなり、農作物被害をもたらすなど深刻な問題です。
桑名ではこの問題を解決しようと、さまざまな取り組みが行われています。
その活動の様子をご紹介します。

■美しいツヤとやさしい手触りが魅力の桑名産竹を生かした手作りボールペン
「Kuwana」の刻印が印象的な竹製ボールペンは、桑名工業高校裏の竹林などで桑竹会メンバーなどの手を借りながら伐採した竹を使って、生徒が1本ずつ手作りしています。令和4年度から500本の限定商品で、市内の郵便局で発売が開始されました。今回は製造現場を見せて頂きました。
まず細い棒状にカットした材料を旋盤(せんばん)と呼ばれる工作機械にセットし、きれいな円柱状にします。それから部分的に削ることで凹凸を作り、使いやすい細さにしていきます。手指の力加減により削る深さが変わってくるため、経験が必要となるそうです。効率を上げるため、木材のカットや旋盤加工、組みつけなど工程ごとに分担して作業していますが、1本のボールペンを作るのに1時間ほど要します。それでも、ワックスを均等に塗ったり、金属部分との接合部を平らにしたりと、細かな部分も気を抜かず、丁寧に作ることをモットーとしているそうです。

桑名工業高校1年 坂口 絢悠(こうすけ)さん
『現在「ものづくり研究同好会」の3人でボールペン製作を行っています。初めは加減が分からず削り過ぎてしまうこともありましたが、これまで100本ほど作り、だんだんと感覚を掴めてきました。細部も丁寧に仕上げることを大事にしています。』

▽竹は堅く加工がしにくいが、ささくれから一気に割れてしまうこともあるそう。今年も500本の完成をめざしているそうです。

購入場所:桑名市・木曽岬町内の郵便局※予約可
販売価格:2,200円(税込)

■桑名と東京の学生が協同し竹のエシカルコスメ開発スタート
7月22日、市内のとある竹林の横で流しそうめんをワイワイと楽しむグループ。市内の高校生や竹林整備を続けるNPO法人「桑竹会」メンバー、東京からやってきた高校・大学生の皆さんです。年齢も性別も立場もバラバラの人たちがここに集まった理由は、「桑名の竹を使って※エシカルコスメを作る」というプロジェクトのため。そうめんをおいしくいただいた後は、原料の竹を伐採し、竹の表皮を削ります。竹の表面に多く含まれる抗菌成分を集約するためです。
竹の伐採方法を教えるのは桑竹会。平成21年の設立時から地域の放置竹林を整備し、里山を守ってきました。チェーンソーを使えば速く楽に伐採できますが、取り扱いには研修が必要なため、高校・大学生はのこぎりで伐採します。竹が倒れる方向に人がいないか逐一確認したり、切った後の竹で人がけがをしないよう配慮したりと、細心の注意を払います。竹の表皮を削るのは小刀。もくもくと削り、約1時間半かけてようやく目標の1kgの表皮を集めることができました。
その後は商品開発のディスカッション。誰向けの商品にするのか?どんな商品を作るのか?など、意見を出し合いました。商品として形になるのはまだ先ですが、どんなエシカルコスメが誕生するのか、楽しみです。

◇なぜこのプロジェクトに参加したんですか?
桑名・田中奏汰(かなた)さん
『「竹の十三夜」というイベントに参加し、竹から製品づくりができることに興味を持ちました。初めて竹林を間近で見て、その大きさに驚きました!』

桑名・山口拳生(けんせい)さん
『通学路にある放置竹林や、大雨の後の倒れた竹を誰が整備しているんだろうと気になっていました。まず一人一人が地域に興味を持つことが大事だと思います。』

東京・磯野アサさん
『生態系を守る農業を大学のゼミで学んでいます。持続可能な社会を実現するためにも、竹林問題を解決する一助になればと思って参加しました!』

東京・砂川颯一郎(そういちろう)さん
『放置竹林について学ぶ機会があり、竹を活用した商品に興味を持ちました。地元の竹製品を積極的に購入する意識を持てるといいと思います。』

◆プロジェクトの密着レポートはこちら(本紙PDF版7ページ参照)から
桑名の放置竹林問題について、東京と桑名の学生が交流しながら学び、竹を使った商品開発までを行うプロジェクト。11月に完成予定。

※エシカルコスメとは、人や環境、社会に配慮して作られた化粧品のこと。

問合せ:この記事については秘書広報課
(【電話】24-1492【FAX】24-1119)

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