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自治体の皆さまへ

【特集】桑名の美しい竹林をもう一度(2)

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三重県桑名市

~整備から製品化まで、持続可能なサイクルを~

■桑名の放置竹林問題に取り組む桑名竹取物語事業化協議会
◆伐採から事業化へのサイクルづくりへ産官学連携がスタート
放置竹林問題を解決するために、企業、NPO法人桑竹会、大学などにより2021年に設立された「桑名竹取物語事業化協議会」。竹林整備の担い手不足、整備・加工コストが高額といった問題はもちろん、地域住民への放置竹林問題の周知を重要視しています。市内では桑竹会が2009年からボランティアで竹林整備を行ってきましたが、一時的な伐採では意味がなく、整備をやめるとすぐに元の竹林に戻ってしまいます。人材や資金を確保し、事業化することが必須条件というわけです。
伐採した竹は「まず建材としての活用を考えている」と蛭川さん(ヒルカワ金属(株)代表取締役)。ウッドショックにより木材価格が高騰しているなかで、環境価値のある建材として竹を提供するなど、付加価値を付けることで輸入木材の価格に対抗できないか、考えています。
まだまだ志半ばだという桑名竹取物語事業化協議会は、他にも近隣自治体との広域連携や、普段はキャンプ場などに活用し、非常時は避難施設にもなる竹林公園の造成などを構想しています。そのためにも一人でも多くの人が仲間に加わってくれることを切望しています。「桑竹会で活動して、健康状態が良くなったというメンバーもいます。私も整備に参加していますが、体力がつきますよ」と蛭川さんが話すように、興味を持ったらまずは桑竹会へ連絡し、見学だけでもしてみてはいかがでしょうか。

1.放置竹林
高齢化などによりタケノコ産地だった竹林が放置され、増えていく。

2.竹林整備・伐採
増えすぎた竹を伐採し、竹が密集しないように整備する。

3.運搬
切った竹を適度な長さにそろえ、運搬する。空洞のため、コストが高くなってしまう点が現状の課題。

4.集成材加工
現在、竹の集成材加工を行っている企業は日本で数社しかない。

5.製品加工
集成材を使って家具やインテリア小物などに加工する。

6.販売
消費者に使ってもらうことで竹を有効活用する循環を作ることが重要。

◆これまでの取り組み
教えてくれたのは…
桑名竹取物語 事業化協議会
会長 蛭川泰好(やすよし)さん

▽[取り組み1]柿安シティホール
壁面や階段の手すりなどに竹を使用。自然素材の優しさが感じられます。ロビーに設置されたテーブル&チェアも、桑名の竹の集成材が使われています。

▽[取り組み2]竹粉の有効性
粉砕機で竹を粉状にし、土壌改良剤として使用。肥料効果の有効性について、テストを行っています。また、竹粉を畜産での敷料として使うための試験を行っています。

▽[取り組み3]幼竹をメンマに!
◆桑名メンマを使ったラーメンメニューを開発中!
名古屋グルメ・みそかつが看板メニューの「矢場とん」は、竹取物語事業化協議会から提供された幼竹を使い、メンマの開発を行ってきました。一般的に出回っている中国産のメンマは「麻竹(まちく)」と呼ばれる種類ですが、桑名の竹は「孟宗竹(もうそうちく)」。種類の違いが固さにも影響し、まず食べられる柔らかさに仕上げることに苦労したそうです。昨年の試作はうまくいかなかったものの、今年はおいしく食べられるメンマが完成しました。
出来上がったメンマを使って提供したいと考えているメニューはラーメン。桑名のメンマとはまぐりを使った「桑名ラーメン」など、現在構想中とのことです。さらに他店にもメンマを提供し、自由な味付けでメニューを考えてもらうなど、活用の場を広げていきたいそうです。

矢場とん 代表取締役社長
奥村与幸(よしゆき)さん

矢場とん ホールディングス代表取締役
鈴木拓将(たくまさ)さん

▽[取り組み4]竹をインテリアアイテムに
◆竹の特性を把握してオリジナル商品を開発
多度町にある就労継続支援B型事業所「こんぱす」では、桑名の竹を使ったインテリアアイテムや雑貨類を制作しています。きっかけは、竹林を持つ職員がいたこと。「せっかくなら、桑名の名産である竹を使ってなにかできないか」と、竹のオブジェを作り始めました。
もともとDIYが得意だったという髙間さんがまず試作し、うまくできたら利用者に伝えて商品作りをしてもらうという流れですが、竹は一般的な木材と異なり筒状なので自由度が低いことや、竹は繊維に沿って割れるなど加工の難しさがあり、初めは苦労したそうですが、利用者による丁寧な手仕事により、完成度の高い商品がそろっています。世の中にある竹製品などからヒントを得て商品ラインナップを増やし、今では40種類ほどの製品を販売しています。

こんぱす 施設長
髙間亮一(りょういち)さん

問合せ:この記事については秘書広報課
(【電話】24-1492【FAX】24-1119)

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