◆ゲストハウスって知っていますか?
宿泊施設というと、まずホテル、旅館、民宿などがあります。今ならちょっと豪華にキャンプ気分を楽しめるグランピングなどが人気です。では、ゲストハウスはどんなところかというと、相部屋(ドミトリー)であったり、トイレ、洗面、お風呂が共用のところが多いようです。歯ブラシ、タオルなどのアメニティの類もなくしてサービスを最小限にすることで、料金を安く提供しています。
北九州の小倉に泊まったときのことです。雑居ビルの4階フロアをまるごとリノベーションした、業界ではちょっと名の知れたゲストハウスに宿泊しました。タンガテーブルといい、名前の由来は、川を挟んだ向かいにある「旦過(たんが)市場」です。200以上が軒を連ね北九州の台所と言われる大きな市場です。残念なことに昨年4月に42店舗、8月に45店舗を焼失する大火災が発生し、全国ニュースで何度も流れました。
ゲストハウスのもう一つの特徴は、ほとんどが既存の建物をそのまま活用していて、民家だったり、店舗だったりをリノベーションしたものが多いことです。タンガテーブルも元は商業施設で、フロアの真ん中にあったエスカレーターをコンパネでふさぎ、客室はその周りを囲むように、これまたコンパネで区切っただけのものです。本紙写真は私が泊まった部屋です。ベッドの脇にあるライトスタンド、ゴミ箱、壁にかけられたハンガーの3点、たったこれだけが部屋の設備のすべてです。テレビはもちろん冷蔵庫も時計も電話もティッシュも鏡もコップもなく、前述したようにトイレ、洗面、シャワーが共用。徹底しています。
そもそもゲストハウスは部屋で一人でくつろぐことを目的としておらず、必然的に飲食や買い物のためにまちに出ます。また、ロビーなどの共用スペースが魅力的につくられており、そこでのゲスト同士の交流を目当てに泊まる旅行者も多いようです。いやはや最近の旅のスタイルや楽しみ方はまったく測りかねます。
ここの交流スペースでは愛知出身の青年が働いていました。鳥羽から来たと話したら「前々から伊勢志摩でゲストハウスをしたいと思っているんですよ」とのこと。翌朝、名刺に一言書き添えてフロントに置いてきたからきっと彼は来るはず!
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