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鳥羽・海藻文化革命 岩尾博士の海藻博物記 vol.31

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三重県鳥羽市

~ツルモ~

令和3年7月の海藻博物記でとりあげたツルモ。茶色い一本の紐のようで、長さは2mくらいで太さは5mm程度、中空になっており、そこに空気をためて浮力を持ち水中で立っている海藻。当時はまだこの鳥羽海域で生えている個体を見たことがなかった。基質の小石に付いたままの状態で流れ着いたものだけ、毎年4月ごろに拾ってはきっと桃取や二見あたりに生えているんだろうな、と想像するだけだった海藻だ。
このたび、今年の4月末に畔蛸漁港から外に出た磯場に潜る機会があり調査したところ、見つけた。港内にも、外側にも。やはり穏やかな砂地の多い場所に、密集した群落にはなっておらず、ぽつぽつと見える範囲に数個体くらいの密度で。ツルモらしく、写真に撮っても見栄えのしない様相で飄々(ひょうひょう)と、ゆらゆらと海面付近まで立ち上がっていた。
とにかく、一度培養してみたいので、成熟しているのを確認して母藻を採取した。研究所にて胞子(遊走子)を放出させて現在、増殖培養中である。うまく増やすことができれば、秋にも養殖試験をしてみたいところだ。そして、今回採取したものを自宅に持ち帰り湯がいて食べてみたところ、弾力のないバサバサした、口にいつまでも残るような食感であった。もう少し煮込んだら、と試したが、同じだった。能登地方では乾燥品はすき焼きにしたり、若い個体をみそ汁に入れたりして好んで食べられる海藻らしいので、なんとしてでもおいしく食べたいところだが、今シーズンの実食体験は失敗に終わった。そして、本当に見つけたい海域(研究所よりも北側)ではまだ発見していない。

問合せ:水産研究所
【電話】25-3316

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