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自治体の皆さまへ

人権文化の花を咲かせよう Vol.222

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三重県鳥羽市

■身近にある戦争遺跡
三島由紀夫の小説「潮騒」に登場する、神島の監的哨跡(かんてきしょうあと)。どこまでも広がる空と水平線が美しいこの場所ですが、もとは軍事目的の施設でした。
監的哨とは、爆撃や射撃の着弾を確認するための施設のことです。神島監的哨は昭和4年(1929年)に旧陸軍の軍事施設として建てられました。愛知県の伊良湖岬先端に旧陸軍の技術研究所が設けられ、そこから神島方面へ向けて、大砲の実射試験が行われていました。神島監的哨では、伊良湖から発射された砲弾の着弾点を確認しており、その結果は大砲や弾薬の研究、効力実験、弾道の研究へとつながっていきました。研究開発された大砲や砲弾は伊良湖射場で試験審査を受けた後、実戦へと配備されていったのです。
昭和20年、第二次世界大戦終戦を迎え、試射場がなくなるとともに、神島監的哨もその役目を終えました。現在は絶景を望める「監的哨跡」として、観光客を出迎えています。また、菅島にも監的哨跡が残されています。
その他の戦争遺跡として、神島灯台北側の官舎付近の斜面には、小規模な防空壕が掘削された跡があります。また、第二次世界大戦末期には本土決戦を想定し、海軍の特攻基地が志摩半島に整備されました。安楽島地区の加布良古(かぶらこ)岬には海軍の特攻基地があり、小型特攻ボート「震洋(しんよう)」が配備されました。「震洋」は小型のベニヤ板製モーターボートに250キロの爆薬を搭載し、敵艦に体当たり攻撃をするというもので、1945年のフィリピン攻防戦や沖縄戦で実戦投入されました。加布良古基地に配備された「震洋」は出撃しないまま終戦を迎えています。
普段なにげなく訪れている場所の傍らに、戦争遺跡が存在しています。戦争遺跡を通して、平和について考えてみませんか。

問合せ:市民課人権・市民交流係
【電話】25-1126

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